2019/01/04発行 ジャピオン1000号掲載記事

スペシャリストに聞く

①30年ぶりの大型税法改正

今月のテーマ:タックスリターン

タックスリターン(確定申告)を準備する季節になった。まずはトランプ大統領政権下で行われた、30年ぶりといわれる大型税法改正が、今度のタックスリターンにどう影響しているのかを見ていこう。

タックスリターンとは何ですか?

米国では、一定以上の収入がある個人は、連邦と州(ニューヨーク市の住民は市に対しても)に所得税を納めます。そのために行う確定申告がタックスリターン(Tax Return)です。日本では会社が税金の源泉徴収を行うので、一般的に給与所得者は自分で申告を行う必要はありませんが、米国では給与所得者でも自分でタックスリターンを行わなければなりません。個人、または夫婦ごとなどで、「ファイリングステータス」に応じて申請を行いますが、一定額が控除されることを「定額控除(Standard Deduction)」と言います。また税法上認められている項目の控除額が定額控除の額より多い場合は、「項目別控除(Itemized deduction)」を選択することができます。

 

2018年度で変更されることは?

今回、法人税、個人税と多岐にわたる税法改正が約30年ぶりに実施されました。そのため個人のタックスリターンにおいても前年度からの変更、また廃止された事項も数多くあります。

まず今回の税法改正で、個人税で変わったことは連邦個人税でこれまでの最高税率は39・6%でしたが37%まで引き下げられたことです。また所得額に応じて10、12、22、24、32、35、37%と7段階の税率に変更。全体的に税率は下がりました。またタックスリターンの際の「定額控除」の控除額が昨年度に比べ倍となりました。同時に「項目別控除」では、控除対象額の引き下げ、項目自体が廃止されたものもあります。

中でも大きく変わったのが、「SALT」と呼ばれる諸税金(固定資産税、州・市・外国所得税など)に関する控除項目です。これまでほとんどの人が特定の支払い税金(他州への所得税や固定資産税)を控除することができましたが、今年度から州・地方所得税や固定資産税を合算した控除額の上限が1万ドルまでとなりました。その他にも海外で支払った固定資産税(例=日本の自宅の固定資産税)の控除も廃止となります。不動産関連では110万ドルを上限とした住宅ローン(モーゲージ)の利子も控除対象でしたが、2017年12月15日以降に組んだモーゲージに対しては対象額の上限が75万ドルに引き下げられました。これまで控除対象となっていた「ホームエクイティーローン」の利子は「Capital improvement」のみ対象となります。他にも人的控除(Personal Expenses)、引っ越し経費(Moving Expences)なども廃止されました。

 

主な税法改正(個人税)

項目 変更前(2017) 変更後(2018)
Individual Rate(個人税率) 最高税率は39.6%。10〜39.6%の7段階の累進課税 最高税率を37%に引き下げ。10〜37%の7段階の税率に変更
Standard Deduction(定額控除) Single=$6350
Married Filing Jointly or Qualifying Widow(er)=$12700
Married Filing Separately=$6350
Head of Household=$9350
Single=$12000
Married Filing Jointly or Qualifying Widow(er) =$24000
Married Filing Separately=$12000
Head of Household=$18000
Personal Exemptions(人的控除) (自分身+配偶者+扶養者)× $4050 廃止
Child Tax Credit(子供控除) 17歳未満の子供1人=$1000 17歳未満の子供1人=$2000
AMT(The Alternative Minimum Tax / 代替最低税金) 免除水準額は5万4300ドル(独身)、8万4500ドル(夫婦合算) 免除水準上額は7万300ドル(独身)、10万9400ドル(夫婦合算)
Alimony Paid/Received(離婚別居手当て) 支払者側は控除対象。受取側は課税対象 18年内以降に離婚成立した同手当は非課税・控除対象外
529 collage saving plans(学資積立控除) 積立金は控除対象(上限あり)、大学学費への使用は非課税。それ以外は対象外 小学校〜大学の学費への使用は子供1人につき年間$1万まで引き出し可能
Moving Expenses(引っ越し費用) 時間、距離により控除額算出 廃止
Sales of Principal Residence(不動産売却) 条件満たせば売却益$25万、夫婦合算で$50万まで非課税 継続
Medical Expenses(医療費) 所得の7.5%を超える医療費 18年は7.5%、19年から10%を超える医療費が控除対象
SALT Deduction(特定の支払い税金) 固定資産税、州・地方所得税は控除対象 固定資産税、州・地方所得税合算で$1万まで控除
Mortgage Interest Deduction(住宅ローン利子控除) モーゲージ利子対象額$1M 利子対象額$75万(夫婦個別は$37万5000まで)12/15/17以降対象
Charitable Contribution(慈善寄付控除) 調整所得の50% 調整所得の60%
Personal Casualty Losses(災害盗難損失控除) 災害など被害額が控除対象 大統領が宣言した災害で生じた損失に限り控除対象
Job Expenses & Miscellaneous Deduction(諸経費控除) 被雇用者で所得の2%を超える自己負担経費を控除 廃止
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吉田成巳さん

米国公認会計士、税理士、CFP®認定者。静岡県出身。19歳の時、ニューヨークへ留学。ニューヨーク市立大学バルーク大学卒業。原・吉田公認会計士事務所代表。専門は会計、税務、ファイナンシャル プランニング。

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