2018/12/28発行 ジャピオン999号掲載記事

スペシャリストに聞く

④低所得者への支援

今月のテーマ:米国の医療保険制度

「オバマケア(アフォーダブルケア)」以外にも、収入ベースで医療を受けられる医療機関や、チャリティープログラムを提供している病院など、低所得者が医療サービスを受けやすくする制度や手段がある。

従来の医療保険と比べた場合の「オバマケア」の特徴は?

オバマケアの最大の特徴は、さまざまな民間保険会社のプランを同時に比較して購入できることと、収入によって月額の保険料の税金控除を受ける資格(アドバンス・プレミアム・タックス・クレジット=APTC)、自己負担額や診察料などを減額する補助金(コスト・シェアリング・リダクション=CRS)などの、加入を助ける制度があることです。

APTCは連邦政府が定める貧困レベル100〜400%であれば使用できます。CRSは、貧困レベルが100〜250%以下の人がシルバーレベルのプランに加入するときのみ使用できます。

 

低所得者で保険購入が困難な場合は?

州によって異なりますが、一定条件を満たせば公的医療保険、メディケイド(Medicaid)を申請できます。

ニューヨーク州の場合はメディケイドに該当しない人のために「エッセンシャルプラン」を導入しています。

エッセンシャルプランとは2016年度から開始されたニューヨーク州の公的医療保険で、メディケイドに該当しない低所得者(連邦貧困レベル138〜200%または138%以下だが移民ステータスが原因でメディケイドに加入できない人)に提供されます。年間ディダクタブル(自己負担額)なし、月々の掛け金が1人0〜20ドルで加入できます。またファミリードクターにかかる際にも0〜15ドルと安価な金額で診てもらうことができます。

詳細はニューヨーク州マーケットプレイスのサイト、もしくはJASSIのウェブサイトにて収入が該当するかご確認ください。

また、それらのいずれにも加入できない場合、ニューヨーク市(他の一部のニューヨーク州を含む)在住者は、市が管轄する病院(HHC)、またはコミュニティーのクリニックで、「スライディング・スケール(収入ベースでサービスを受けられるプログラム)」を利用することができます。これは診察を受けた時のみ診察料を払うというものです。他州在住者でもローカルのクリニック、州の病院などを通してサービスを受けられる場所があるので確認してください。

中には保険料金が高いということを理由に加入しない人もいますが、いつ事故に遭ったり、病気になるかは分かりませんから、現在医療サービスを受けていない、健康で無保険の人でも、近所でどのようなサービスが提供されているのか、調べておくことがとても大事です。

 

どんな点を考慮してプランを選べばいいですか?

若くて健康で、病気にかかるリスクが低いと思われる人はブロンズかシルバーを、高齢の人や糖尿病などの持病があったりコレステロール値が高いなど、あらかじめ医療費がかかることが分かっている人は、年間の医療費のトータルで考えると掛け金が高いゴールドやプラチナを選んだほうが安くなる可能性があります。年間、どのくらい医療にお金を使うかを考えて選んでください。

 

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堀川智里さん

非営利福祉団体、日米ソーシャルサービス(JASSI)のディレクター。ニューヨーク州認定ソーシャルワーカーとして、日米の制度の違いや生活上のさまざまな問題に対する相談や福祉サービスを提供している。同州認定保険カウンセラー(CAC)としてオバマケアの相談、申請手続きも行っている。

JASSI(日米ソーシャルサービス)/ Japanese American Social Services, Inc.

TEL
212-442-1541(内線1)
WEB
http://jassi.org/

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