2018/12/21発行 ジャピオン998号掲載記事

スペシャリストに聞く

③日本の医療保険の利用

今月のテーマ:米国の医療保険制度

日本の国民健康保険や海外旅行者保険を使って米国で医療サービスを受けることもできる。ただし、カバーされる範囲や限度額などについて、あらかじめ確認しておくことが大切だ。

日本の国民健康保険は米国でも使うことができますか?

日本の国民健康保険に加入し、短期間(1年未満)海外に滞在した人が米国で病気治療を受けた場合、日本の海外医療費の制度を通して一定額がカバーされます。ただし、カバーされる治療費は米国内でかかった治療費ではなく、日本で同様の治療を受けた場合の治療費に相当する額であることに注意が必要です。

例えば、急性盲腸炎を発病し、救急車で病院に運ばれ、手術を受け、数日入院治療を受けて退院した場合、米国では200万円以上の医療費がかかることがあります。一方、日本では盲腸の手術と数日の入院にかかる治療費は10万円程度ですので、日本の国民健康保険でカバーされるのは10万円程度ということになり、残りは自己負担しなければなりません。

米国では日本と比べて医療費が高額であること、国民健康保険に加入しているから安心ということにはならないことを、よく理解しておく必要があります。米国で支払った医療費の払い戻しを受ける場合は、国民健康保険のウェブサイト(www.kokuho.info/sikyuu-kaigai.htm)から申請用紙をダウンロードして必要事項を記入し、保険を発行している各地方自治体に提出します。

 

海外旅行者保険の利点と注意点について教えてください。

多くの利用者から聞く日系海外旅行者保険の利点は、次のようなものです。

・24時間体制で日本語の電話サービスが受けられる。
・病院や医師の紹介や通訳サービスがある。
・医療費に関して病院への対応をしてくれるので、慣れない英語でやりとりする必要がなく安心。
 一方、海外旅行者保険に関する相談で多いのは次のようなものです。
・持病を持っていて継続的に治療を受けなければならないが、海外旅行者保険ではカバーされない。
・事故に遭って長期にわたって治療していたが、限度額を超えたため治療が受けられなくなった。(持病を持っていてもカバーできる保険もあります)
・妊娠したが、妊娠、出産の費用がカバーされない。

この他、健康診断や年1回の検診、病気予防などは海外旅行者保険の対象とはならないようです。海外旅行者保険を購入する場合は、カバーされる範囲や治療費の限度額、期間などをよく確認してください。

 

オバマケアでは、医療保険未加入者に対する罰則がありますが、日本の国民健康保険や海外旅行者保険に加入している場合は、罰則は免除されますか?

医療保険に加入しない人は一部の例外を除き、確定申告の際に「Shared responsibility payment(SRP)」を納めなければなりません。日本の国民健康保険や海外旅行者保険は、現時点では、米国医療保険制度改革法の基準を満たしているとは見なされないため、SRPを課される可能性があります。一方、日本の健康保険組合、共済組合、全国健康保険協会は米国の基準を満たしていると見なされているため、これらに加入している場合はSRPを課されません。

SRP免除となるのは次のような場合です。
・保険未加入期間が1年を通じて続けて3カ月未満の場合
・一番安価な保険の保険料が世帯所得の8%以上になる場合
・所得が申告義務所得額を下回る場合
など。

ただし、2019年以降保険未加入者に対して、連邦レベルでSRPは原則的に課されません。州によっては19年以降もSRPを課す州がありますので、お住まいの州の決まりをご確認ください。また、SRPを課されてもビザや永住権に支障が出ることはありません。

〈おことわり〉

当非営利団体は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

996_spec_Chisato-Horikawa

堀川智里さん

非営利福祉団体、日米ソーシャルサービス(JASSI)のディレクター。ニューヨーク州認定ソーシャルワーカーとして、日米の制度の違いや生活上のさまざまな問題に対する相談や福祉サービスを提供している。同州認定保険カウンセラー(CAC)としてオバマケアの相談、申請手続きも行っている。

JASSI(日米ソーシャルサービス)/ Japanese American Social Services, Inc.

TEL
212-442-1541(内線1)
WEB
http://jassi.org/

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画