2018/11/23発行 ジャピオン994号掲載記事

スペシャリストに聞く

④トラブル解決

今月のテーマ:起業に関する法律

従業員とのトラブルやビジネス関連の訴訟で、多いのはどのようなケースなのか、またトラブルを未然に防ぐためには何が必要かについて、専門家の意見を聞いた。

会社を起業し、新たに従業員を雇用する際に注意すべきことは何ですか?

ニューヨーク州の人権(Human Rights)法により、雇用における差別(国籍、人種、言語、宗教、肌の色、性別、セクシャルオリエンテーション、年齢、婚姻の有無、居住地、妊娠などによるもの)は禁止されています。

そのため、雇用する際の採用面接で、前記したことに該当する質問は、全て差別と認識される可能性があるので、絶対に聞くべきではありません。

質問事項は業務内容に関して候補者が遂行できるかといった能力について、また勤務に関することのみにとどめることをお勧めします。

日本人が雇用主となる場合、米国における差別行為についてよく理解していない部分があるようです。どんな発言や行為が差別に当たるのかを、事前に十分に理解し、注意を払うことが必要です。

 

雇用した後で問題が起こった場合、どのように対処すればよいでしょうか?

従業員を解雇する前には、必ず解雇するに至るまでの業務怠慢などの経緯を書面で残すべきです。

例えば、遅刻が多い従業員に対しては、遅刻をした際に、遅刻したことと、その内容の書面に署名をしてもらいます。それでも遅刻が続くようでしたら、「1カ月遅刻が続いたので、次に遅刻をしたら解雇します」という内容のワーニング(警告)を作り、理解してもらった上で署名してもらい、保管しておきます。

署名入りの同意書を残しておくことで、解雇後に従業員が不当解雇だとして訴訟を起こした時に対処しやすくなります。

 

従業員に向けて、従業員ハンドブックを作成する必要はありますか?

就業規則を記述した書面を渡して署名してもらうといいでしょう。

訴訟になった際に、よくあるのが従業員が「これをしてはいけないと理解していなかった」と訴えるというケースです。

このような事態を未然に防ぎ、解雇した後に問題が起きないように、採用時に就業規則に署名してもらうのは有効な手段です。また、解雇に関する会社のポリシーや手続きを明記しておくことも有効です。

 

ビジネスで訴訟問題に発展するケースとはどんなものですか?

スモールビジネスに限ると、一般的に多いのは差別やハラスメント、契約不履行/損害賠償などが挙げられます。

例えば、この商品を購入したが、納品が遅れたために損失が出た、というようなケースです。

 

訴訟などのトラブルを未然に防ぐには?

ビジネスでは、常にさまざまな訴訟リスクが伴いますので、雇用者は常日頃から言動に気をつけ、確信がない場合、状況に関しては専門家に法的アドバイスを求めることをお勧めします。また訴訟に対する保険に加入することもできます。

また、事前に懸念事項、その対処法や双方の義務などを明記した契約書をきちんと作ることで将来的な論争を防ぐのに役立ちます。

〈おことわり〉
当弁護士事務所は、記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

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塩原源基(げんき)弁護士

証券会社勤務を経て、New York Law Schoolに通い、弁護士資格を取得。2013年11月よりRBL Partners法律事務所にて勤務。会社設立、契約書の作成・レビューを含む一般企業法など、会社にまつわるさまざまな法的事項、商業用不動産、雇用・労務を担当。

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