2018/11/16発行 ジャピオン993号掲載記事

スペシャリストに聞く

③保険の種類

今月のテーマ:起業に関する法律

会社を設立し、従業員を1人でも雇用すると、各種の保険に加入する必要が出てくる。今回は保険の種類や、契約社員(インディペンデント・コントラクター)に仕事を依頼する際に注意すべきことを聞いた。

会社を設立し、従業員を雇用する場合に加入する必要のある保険について教えてください。

ニューヨーク州が加入を義務付けている保険は主に3種類あります。
・ 労災保険(Workers’ com- pensation)職務に直接関連して起こった事故や病気などに対し、従業員が雇用者からキャッシュベネフィットや治療を受けることができる保険です。これらの補償金は雇用者が負担するべきお金となり、従業員に対して負担を要求することはできません。保険料(Premium)は従業員数や危険物の取り扱い有無などの職務内容により異なります。労災保険は一般の保険会社を通して、もしくは州がスポンサーのNPO、「NY Insurance Fund」を通して手続をすることが可能です。

・ 失業保険(Unemploy- ment Insurance)

失業保険は個人の過失ではなく職を失った場合など、該当する従業員に対して、一時的にある程度の収入を提供する保険です。ニューヨーク州では雇用者が保険料を支払い、従業員の給与から金額が差し引かれることはありません。

・ 所得補償保険(New York State Disability Insurance/NYSDI)

NYSDIは職務と関連性がないけがや事故、もしくは妊娠・出産による障害が発生した場合に、一時的にキャッシュベネフィットが提供される保険です。

以上の3種類の保険に加えて、従業員数が50人を超える場合、雇用者は従業員に対して適切な健康保険を提示する義務があります。

 

この他にも加入しておいた方がいい保険はありますか?

ニューヨーク州では加入が業務付けられていませんが、会社や従業員が及ぼした損害に対するクレームで発生する財務損失を補償する企業賠償責任保険や一般賠償責任保険と呼ばれる保険があります。

一般的に補償されるのは勤務地で発生したけが、建物や所有物に対する損害、訴訟で発生する法的費用や賠償金などです。

 

個人事業主(Sole Proprietor)やパートタイムの従業員を雇用する場合も、保険に加入する必要はありますか?

雇用者の会社規模に関わらず、1人でも従業員を雇用した場合は、前述の3種類の保険に加入しなければなりません。

また、雇用形態もフルタイムかパートタイムかに関係なく、従業員は前述の3種類の保険が適用される可能性がありますので、雇用者は全ての従業員に対して加入義務があります。違反した場合は罰金が科せられます。

 

インディペンデント・コントラクター(契約社員)に仕事を委託する際に注意すべきことは?

よくある誤解は、W2を発行すると正社員、1099を発行すると契約社員扱いになるというものです。両者の違いは発行するW2、または1099ではなく、業務の管理形態によります。雇用主(仕事の依頼主)が仕事の成果だけでなく、勤務時間や勤務地などまでコントロールする場合は、契約社員とはなりません。

例えば、働く時間と場所を決められている美容師は、契約社員ではなく正社員扱いとし、残業代の支払いや保険の加入も必要です。

誤った正社員・契約社員の識別により、多額の罰金が発生する場合もあるので、1099を発行している社員に関しては、その勤務環境をよく見直すことをお勧めします。適切な残業代やベネフィットが支払われていない場合は、従業員からそれを指摘される可能性もあります。

〈おことわり〉
当弁護士事務所は、記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

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塩原源基(げんき)弁護士

証券会社勤務を経て、New York Law Schoolに通い、弁護士資格を取得。2013年11月よりRBL Partners法律事務所にて勤務。会社設立、契約書の作成・レビューを含む一般企業法など、会社にまつわるさまざまな法的事項、商業用不動産、雇用・労務を担当。

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