2018/09/28発行 ジャピオン986号掲載記事

スペシャリストに聞く

④問題解決

今月のテーマ:米国の義務教育

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

文化の違い、制度の違いから日米では問題解決の方法が違ってくる。今回は、子供に何か問題が起こった際に、当地の学校ではどのように対処すればよいかを聞いた。

日本から家族と共に来米した子供が突き当たる壁は?

やはり一番は英語の習得でしょう。

子供は大人と同様、それぞれの能力やキャパシティーも違えば、性格もさまざま。また言語そのものが得意、不得意な子供もいます。大人はよく、子供だからという理由で、アメリカに住んでいれば、すぐに英語を流ちょうに話せるようになる、と考えがちですが、それは間違った認識です。

私自身、実際に今まで相談を受けたり、関わってきたりした子供の中でも、幼少期に言葉を覚えるのが早かった子、国語が得意な子、学習能力が高い子、社交的な子、そして高いヒアリング能力を持つ子などは、会話レベルの英語習得は早かったように思います。一方で、内向的な性格で、友達を作るのがなかなか難しいという子供でも、自分なりのペースで時間をかけて英語をしっかりと習得していく子もいます。また現地校での学習の理解度は、読み書きの英語修得度で変わってきます。来米から5〜6年経っても、文章の読解や宿題などに苦労している子供もたくさんいます。

特に日本語も英語も両方とも勉強していて、両言語を足せば学年レベルの語彙(ごい)力を持ち合わせているのに、現地校では英語でのみしか考慮されないため、先生から語彙の少なさを問題として指摘されることがあります。

日本で学年レベルの国語をこなすのも大変なことです。それは英語を母国語として学んでいる子供にとっても同じことです。このように両言語を一生懸命学び続けても、まだまだ足りないと言われる状況が続くのは、本人にとって負担やストレスとなります。

親が知っておくべきことは?

子供の能力はさまざまですが、親は周りの子供と比べてしまい、焦る気持ちが募ります。言語習得は実に時間のかかるものだと自覚し、気長に構える必要があります。

もし、まだ独りで宿題などができず、学習自体が困難で、親も十分助けてあげられない場合は、ある程度の出費がかさんでもサポートをしてあげるようにしたいですね。

多くの親御さんは、できるだけ完璧なバイリンガルを目指してあれもこれもと考えがちですが、結果、全て中途半端になりがちです。逆に、きちんと優先順位をつけてあげる方が、実は子供にとってもっとフォーカスが定まって学びやすいと思います。 

子供に問題が起きたら、例えばいじめに遭ったといった場合、誰に相談すればいいですか。

いじめなどの問題が起きたら、まず担任の先生にメールなどで、何が起きたかを明確かつ冷静に話してください。

すぐに対応してくれる先生なら良いのですが、もしきちんとした応答や対処がない場合、また問題が続いた場合は、ちゅうちょせずに校長に話を持って行ってください。アポイントメントを取って、実際に親が学校に出向いて直接面談で話した方が、親の真剣さや事の重大さが伝わります。

スクールカウンセリングとは?

各学校には必ずスクールカウンセラーが1人常常駐しているはずです。この先生は、日常的に悩みのある児童や親と話をしたり、子供の問題や家庭での問題対処についてのセミナーを開催したりします。

特に行動に問題があったり、発達障害、また精神的な疾患を抱えていたりする児童の場合は、親も含めて関係者全員で話し合い、チームとして対策を決定します。前記した、いじめの場合も、担任の先生へのメールを送る時に、カウンセラーにもCCで送っておくとよいでしょう。

最終的に子供を守れるのは親だけです。子供に問題の兆候が見られたら、カウンセラーをはじめ、担任や校長に話をしにいくのは米国では当然のことと認識してください。

〈おことわり〉
当社は、記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

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高橋純子さん

教育コンサルタント。コロンビア大学応用言語学博士課程、研究員。著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。教育コラムなどの執筆多数。

Junko Takahashi

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