2018/09/21発行 ジャピオン985号掲載記事

スペシャリストに聞く

③入学の準備

今月のテーマ:米国の義務教育

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

入学が可能であることが分かり、入学したい学校が決まったらどこで情報を得て、何を準備するべきか、また日本人が陥りがちな間違いなどを、専門家に聞いた。

子供が入学可能な学校の情報収集はどのようにすればいいですか?

子供に適した学校を選択するに当たって、事前の情報収集が大変重要になります。まず校区や学区内の公立校を調べてみましょう。

市が定める校区の境界線は、家族人口の変化や、政治的な理由で何年かごとに変更されることもありますので、注意が必要です。「この学校に子供を通わせたいから、この校区の住居を購入した」という家族が、翌年からの校区の変更により、結局希望した学校に通えなくなったというケースは多々あります。

ニューヨーク市の校区は、左記のウエブサイト(www.schools.nyc.gov/find-a-schoo)で住所を入れると、通える学校が分かりますが、必ず学校、またはDOE(Department of Education)に直接電話やメールをして確認を取るようにしましょう。

その学校の質や評判については、ネットでいくつかの教育サイトが、学校評価や保護者のコメントなどを掲載していますので、それらを参考にしてみましょう。特にニューヨークで主なサイトは次の通りです。
www.schools.nyc.gov/about-us/reports/school-quality
www.insideschools.org
www.greatschools.org/new-york

しかし、これらのデータは学校の質や生徒の人種などを数字で表しているものの、情報やコメントが最新のものでないこともあるので、結局役に立つのは実際の声となります。

もし同じ学校にお子さんを通わせている保護者(知り合いや、同じアパートに住む家族など)に話が聞ければ、細かい内情などがよく分かるので理想的でしょう。

入学手続きに必要なものや注意点を教えてください。

区•校区内に住んでいることが条件になりますが、その証明となる賃貸契約書や電力会社からの請求書などを用意しておきましょう。

また、子供の出生証明書(Birth Certificate)またはパスポート、そして現在までの予防接種記録が英語で必要となります。

日米では、必須とされる予防接種の種類と本数が違うことが多く、現地で足りない接種をしてもらい、健康診断の事項も医者に記入してもらわないといけません。ですので事前に学校からのメディカル•フォームを入手して、現地の医者に予約を取っておくことをお勧めします。

Q特に、日本人がよく陥りがちな失敗や間違いはどんなものがありますか?

日本は4月から新学年が開始されますが、米国は前年の9月から始まるので、米国は日本より8カ月先に学年が始まっていることになります。さらにカットオフデイト(学年を決めるための誕生日の区切り)の違いから、転入する学年がしばしば問題とされます。 
 ニューヨーク市の公立を例に取ると、その年の1月1日から12月31日に6歳になる子は、同年の9月から小1に入ると決められています。例えば、12月生まれで、まだ5歳の子供でも、日本で4月に幼稚園年長になったばかりの子でも、渡米して9月からいきなり小学1年生になってしまうことがあり得ます。
 米国は州や市によっては、1学年落とすことを相談できる学校も数多くありますが、ニューヨーク市は例外を全く認めなくなりました。
 結果、クラス内でも幼く、英語も分からないという状況に陥ってしまうケースが見られます。私立であれば学年を落とす相談は可能ですが、このような学年問題は子供の学習状況を左右するので、慎重に対処することが必要です。

〈おことわり〉
 当社は、記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

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高橋純子さん

教育コンサルタント。コロンビア大学応用言語学博士課程、研究員。著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。教育コラムなどの執筆多数。

Junko Takahashi

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