2018/09/14発行 ジャピオン984号掲載記事

スペシャリストに聞く

②現地校の種類

今月のテーマ:米国の義務教育

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

日本と制度が違う学校教育。ニューヨーク市には公立校、私立校の違いだけでなく、チャータースクールやマグネットスクール、ギフテッド&タレンテッドスクールなどがある。また2カ国語で授業を行う学校もある。

公立学校と私立学校の違いや特徴を教えてください。

公立と私立では、授業料の有無は当然のこと、教育方針や生徒の人数なども変わります。公立は、各州や市、各学校などでレベルや質に差はあるものの、基本的に共通した標準教育の発想は変わりません。1クラスの生徒数も、20人台が一般的ですが、人気校区の学校では30人近い場合もあります。一方、私立は、個々の学校が独特の教育方針や指導方法を掲げています。例えば、従来の伝統的なカリキュラムを持つ学校(Traditional school)もあれば、逆に「モンテソーリ系」や「シュタイナー系」など、生徒の感性や創造性を重視し、実体験や生活から学ばせる「Progressive school」、 また宗教が母体の保守的な学校もあります。私立のクラスは少人数制が多く、先生と生徒の割合もより小さくなるので、その分細かい指導が期待できます。

チャータースクールとは何でしょうか。

チャータースクールは、市や学区からの関与を受けず、州と地域の教育団体が主導して運営している公立学校です。ニューヨーク市のチャータースクールは、その多くがレベルの高い教育と厳しい指導で知られています。この学校は、校区に関係なく入学でき、出願すればロータリー(抽選)による結果が送られてきます。よって居住している校区以外の学校に進学をしたい場合、より高い教育を求めてチャータースクールに応募する家庭が多いようです。

マグネットスクールとは何でしょうか。

マグネットスクールは、特別なカリキュラムや何か一つの分野に秀でた特徴を持つ児童を指導する公立学校です。
この学校は基本的には校区の児童を優先的に入学させますが、同じ学区内であれば応募を受け付けて、抽選で合否結果が知らされます。この他に、学力の高い児童が受験して入る「Gifted & Talented Program」、2カ国語で授業を行う「Dual Language Program」などのプログラムも校区に関係なく応募できます。

日本語補修習校はどのような教育機関ですか?

日本語補習校は、日本政府からサポートを受け、海外で育つ子女を日本のカリキュラムに準じて日本語で指導する学校です。フルタイムの日本人学校とは違い、大抵は土曜日に授業が行われます。国語力を維持するには必要な学校ですが、日本の学校が月〜金曜日でこなす内容を、土曜日のみで教えるという内容ですので、宿題やテストなども含め、家庭での本人と親の努力が必要となります。

現地校や日本語補習校、日本人学校など、学校はどのように選んだらよいのでしょうか。

どの学校を選ぶかは、各家庭の方針、子供の年齢や性格、将来の展望、また滞米期間の長さなど、様々な要因を考慮しなければなりません。例えば日本から来米されて、滞在予定が短く、なおかつ小学校高学年以上ですでに学習内容のレベルが高い場合は、日本人学校を選択される家庭が多いようです。 一方、日本人学校が存在する地域は限られますし、また帰国後に帰国子女枠での受験を目標として、最初から現地校を目指す家庭も少なくはありません。
バイリンガルになる過程の参考として、子供は現地校に入れてから会話習得(生活英語)までに3年、学年レベル科目での読み書き習得(学習英語)には、さらに数年かかると言われています。授業がわからないと、知識の空洞化が長く続くことも考えられ、また補習校に通っていても、日本語はおろそかになりがちという現状は否定できません。これら全ての観点を押さえた上で、家庭でよく話し合い、ベストな選択されることが重要です。〈おことわり〉
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高橋純子さん

教育コンサルタント。コロンビア大学応用言語学博士課程、研究員。著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。教育コラムなどの執筆多数。

Junko Takahashi

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