2018/07/20発行 ジャピオン976号掲載記事

スペシャリストに聞く

③テロ対策

今月のテーマ:防犯

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


近年、世界各地でテロが発生し、ニューヨーク市内でも昨年、テロが数件起こっている。発生を予測できないテロに対してどのように対処するべきか専門家に聞いた。

ニューヨーク市内では昨年、車を使ったテロで8人が死亡(*1)、また地下鉄駅構内で自爆テロ(*2)も起こりました。こうした予測できないテロに対して、どのように身を守ればいいのででようか?

 「自分の周りでテロなんて起こらないだろう」と楽観しないこと、他人事に思わない意識が一番大切です。

 テロの発生は予測できませんから、テロに遭遇することを100%回避する方法はありません。だからといって事前に何も考えておかなければ、実際にテロに遭遇してしまった際に適切な行動を取れず、命を落としかねません。

 テロに遭遇した際の基本的な考え方は、「命が助かる可能性を1%でも上げる」です。そのために、取るべき行動をあらかじめ考えておくことが必要です。

実際にテロに巻き込まれてしまったときにすべき対処法は?

 NYPDが、乱射事件に遭遇した場合の対策として挙げているのが、「アボイド」「バリケード」「コンフロント」です。

 まず、「アボイド」。とにかくテロ発生現場から離れることが重要です。銃声や爆発音が聞こえたら発生地から遠ざかるように逃げてください。昨年10月に起きたラスベガスでの乱射事件でも、異変を察知し、すぐにその場から立ち去った人が多く助かっています。銃撃をしてくる場所を感知し、それとは反対方向に逃げます。逃げる際には、必ず頭をかばいながら、標的にならないために低姿勢を保つことも心掛けてください。さらにジグザグに走って逃げると撃たれる可能性が低くなる場合があります。また、こうした非常時に、決してスマホで写真を撮影しようなどと思わないでください。

 昨年末、ニューヨークでは地下鉄駅構内の地下通路での自爆テロがありました。こうした場合も爆発音を聞いたら発生地を感知し、それとは反対方向に走って逃げます。通常、こうした自爆テロでは、爆発が数回起こることが多いので、近くにいると二次被害に遭う可能性が高まります。

 乱射事件が発生し、すでに犯人が建物内に侵入しているときには、部屋のドアの鍵をかけ、椅子やテーブルでドアに「バリケード」を作ること。障害物を設置することで、犯人の侵入、襲撃を遅らせ、助けが来るまで、少しでも時間稼ぎをすることが重要とされます。

 「コンフロント」とはつまり闘うことです。しかし、実際には、武器を持った人間を相手に立ち向かうことは、訓練でも受けていない限り容易なことではありません。

 実はこの考えは、2015年に欧州で起こった実際の事件が影響していると考えています。自動小銃を使って鉄道内で無差別殺人テロを起こそうとした犯人をアメリカ人の若者3人が取り押さえ、犯行を未然に防いだという事件です。これは、クリント・イーストウッドが監督し、今年映画(「15時17分、パリ行き」/英題=The 15:17 to Paris)にもなったのでご存知の方も多いかもしれません。しかし、犯人を取り押さえたアメリカ人の若者3人のうち2人は訓練を受けた軍人であることを忘れてはなりません。

 ただ、たとえ逃げられないかもしれない状況になっても、「最後まで絶対諦めない」執念を持つことが実はとても大切だと考えています。そして常日頃から、「もしこの場で何か起きたら」と考え、行動の仕方や計画を想定しておくことが大切です。

〈おことわり〉
当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

【編集注】
(*1)2017年10月31日にダウンタウンで発生。自動車で自転車専用道を走り歩行者8人を死亡、12人を負傷させた。今年6月、連邦検察局はサイフロ・サイポフ被告を28の訴因で起訴。同被告は無罪を主張している。同被告はイスラム国の名のもと犯行を行ったと主張している。

(*2)17年12月11日にタイムズスクエア付近の駅構内の地下通路で、男が体に巻きつけたパイプ爆弾を起爆させ、本人を含む4人が負傷した。連邦検察局はアカエド・ウラー被告を、テロ集団への支援、大量殺りく兵器の使用などの罪で起訴している。

Hashimoto

橋本晃宏さん

Safeco Risk Control, Inc.代表。1995年からセキュリティー関連のビジネスを始め、2004年に同社設立。セキュリティーシステム・スペシャリスト、リスクアナリストとして個人・企業向けに防犯管理サービスを提供している。元カリフォルニア州立短大講師。

Safeco Risk Control, Inc.

WEB
http://www.safecosurveillance.com

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