2018/02/16発行 ジャピオン954号掲載記事

スペシャリストに聞く

③J1ビザ

今月のテーマ:H1B以外の就労ビザ

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


就労ビザではないが、文化交流を目的としたJ1ビザでも米国内で働くことが可能だ。J1ビザプログラム実施団体の条件を満たさなければならない難しさがある反面、学位を取得していなくても申請できるメリットもある。



J1ビザとはどのようなビザですか?

 文化交流ビザであるJ1ビザには、留学生、研究者から大学教授の交流を対象としたものまで20種類あります。このJ1ビザの一つが研修生、トレーニー、インターンなどが米国内で研修を受けられるようにするために発給されるビザです。ただし、母国では習得できない技術などを米国で身に付けることが目的のビザなので、研修後は母国に戻ってその技術を生かすことが前提となります。就労ビザではありませんが、研修先から報酬を得ながら研修を受けることができます。



「J1インターン」、「J1トレーニー」の違いは?

 「J11インターン」は米国以外の教育機関に在学し、現在、その研修分野について学んでいること、または、来米前の12カ月以内にその教育機関を卒業していることが条件です。卒業後間もない人が対象となるため、該当する人は多くありません。

 一方、「J1トレーニー」は、米国以外の教育機関で学位か資格を取得し、さらにその分野で1年以上の経験があることが条件です。学位を取得していない場合は、米国で研修を受けようとしている分野での経験が5年以上あることが条件となります。



J1ビザの申請方法について教えてください。

 ビザは通常米国移民局に申請しますが、J1ビザの場合は、政府から認定を受けているJ1プログラム実施団体を通じて申請します。J1プログラム実施団体は多く、一定の業界の研修のみを扱っていたり、受け入れ企業の規模に関して条件があったり、研修生の年齢制限があるなど、それぞれに独自のルールがあります。自分の目的に合ったJ1プログラム実施団体を探すことがJ1ビザ申請の際に最初のステップとなります。

 J1ビザ取得の難しい点は、法律上のJ1ビザの条件を満たした上で、自分の研修目的に合ったJ1プログラム実施団体を捜し、さらに、その団体の条件も満たさなければならないことです。J1プログラム実施団体は、左記の米国国務省のウェブサイトで検索できます。
www.j1visa.state.gov/participants/how-to-apply/sponsor-search/?program=Trainee



J1ビザの、申請費用とビザの有効期限は?

 J1ビザの申請費用は160ドルですが、これ以外に2000ドル以上(J1実施団体により異なる)の費用がかかります。

 J1ビザの有効期限はほとんどの場合最長18カ月ですが、ホスピタリティー分野の場合は最長12カ月です。レストラン業界もホスピタリティー分野と見なされることが多く、その場合、有効期限は12カ月となります。



J1ビザで研修を受けた後、H1Bビザを申請することは可能ですか?

 J1ビザは前述したように、母国では習得できない技術を身に付けるために、一時的に米国内に滞在することを目的としたビザです。研修後は母国で習得した技術を生かすことが前提となっているので、それを理由にH1Bビザの申請が却下される場合もあります。また、J1ビザからH1Bビザへの移行は難しくなってきているのが現状です。



H1Bに代わる選択肢としての永住権申請は?

 会社をスポンサーとして永住権を申請する場合、数年前までは申請から取得までに5〜7年かかっていましたが、最近は移民局の審査が非常に早くなり、1・5~2年で発給されるようになっています。雇用主のサポートが得られる場合は、H1Bの申請を行わずに永住権を申請することが現実的になったため、こうしたケースが増えてきています。

 従来は米国内での永住権申請に面接はありませんでしたが、昨年10月以降、面接が行われるようになっています。

〈おことわり〉
 当法律事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。



「STEM分野」における影響は?

 STEM分野とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を指します。OPTの有効期限は通常1年ですが、オバマ政権下で2016年5月から、この4分野の学位取得者に限り、OPT期間が24カ月延長され、OPTとして合計で36カ月間働けるようになりました。これにより、STEM分野の学位取得者はH1Bの申請を行う必要がなくなり、時間的な余裕が出る分、永住権申請などの選択肢も選びやすくなりました。また、雇用主にとってもH1Bビザのスポンサーとなる必要がなく、申請費用の負担もなくなるため、雇用しやすくなったといえます。

 ところが、「STEM分野」のOPTは廃止になる可能性が出てきており、今後はどうなるか分かりません。

〈おことわり〉
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SPECIALIST

ボアズ麗奈弁護士

東京都出身。ニューヨーク州弁護士。ニューヨーク大学経済学部、フォーダム・ロースクール卒業。2010年RBL Partners PLLCを設立。移民法をはじめ、会社設立、雇用法など、さまざまな法的サポートを提供している。

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