2018/01/19発行 ジャピオン950号掲載記事

スペシャリストに聞く

③個人事業主の確定申告

今月のテーマ:タックスリターン

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


今回は個人事業主やフリーランスのタックスリターンについて。タックスファイリングに必要な書類、一般的に事業経費として認められる項目や、誤解が多く注意が必要な点などについて話を聞いた。



個人事業主やフリーランスのタックスファイリングについて教えてください。

 人事業主やフリーランスとして働いている人は、通常、「スケジュールC」のフォームでタックスファイリングを行い、所得税、15・3%のソーシャルセキュリティー税、メディケア税を納めます。ただし、損失が出た場合は所得税を納める必要はありません。給与所得者の場合は給与源泉徴収票である「W2」が送られて来ますが、個人事業主やフリーランス、契約社員、契約で働く外部スタッフ(independent contractor)には、年間600ドル以上の報酬を受けた支払い元から「1099—MISC」が送られてきます。

 給与所得者と大きく異なるのは、事業運営にかかった経費の領収書を保管し、領収書のない交通費などは記録しておかなければならない点です。また、領主書などは、確定申告が終わっても時効が成立するまでの最低3年間は保管しておかなければなりません。



個人事業主の場合は税務監査が入る可能性が高いと聞きました。

 その通りです。事業内容に対して経費がかかり過ぎていたり、事業で損失が出たりしている場合は調べられる可能性があります。個人事業主全体の1・3%、所得が20万ドル以上ある人の2%以上に税務監査が入っているというデータがあります。



控除の対象となるのはどのような項目ですか?

 個人事業主やフリーランスの場合は控除ではなく、課税対象となる事業収入から事業経費を差し引いて事業所得を計算します。具体的には、広告宣伝費、交通費、通信費、外注費、オフィスの家賃・光熱費・共益費、備品代、コンピューターなどの減価償却費、修繕費、出張旅費、ライセンス費など、事業収入を得るために必要とされる支出が事業経費の対象となります。

 自宅をホームオフィスとして事業を行う場合は、1スクエアフィートにつき5ドルで計算する方法か、家賃(または減価償却費)や光熱費、修繕費、保険料などを、使用面積で案分したものが事業経費として認められます。



事業に必要な経費でも、控除が認められないのはどのような場合ですか?

 個人事業主の場合の控除対象となる項目は前述の通りですが、具体的な控除項目の詳細は事業内容や個々のケースによって異なります。常識的に考えて必要経費として認められる可能性の少ない支出の場合でも、事業に必要であるとことをIRS(合衆国内国歳入庁)に認めてもらうことができれば、必要経費として申告できる場合もあります。



タックスリターンでよくある誤解はどのようなものですか。

 ギフトの場合、経費として認められるのは1件につき25ドルまでです。それ以上の金額のギフトを贈った場合でも、25ドルまでしか認められないので注意が必要です。

 自宅オフィスで実額を控除する場合は、家賃や光熱費(使用面積で案分)も控除の対象になります。ただし、自宅オフィスは日々仕事目的のためだけに使用されている場所でなければなりません。



海外にある銀行口座の預金残高も申告しなければなりませんか。

 1年を通して1度でも1万ドル以上の残高があった場合は、確定申告と同時期に財務省へ報告する必要があります。これは、個人事業主だけでなく、「W2」で確定申告を行う給与所得者の場合も同様です。

〈おことわり〉
 記事内容に関して当会計士事務所は一切の責任を負いかねます。詳細は各会計士にご相談ください。



SPECIALIST

齋藤美智子公認会計士

米国公認会計士(ニューヨーク州、コロラド州)、Ernst&YoungLLPのPeople AdvisoryService税務パートナー。20年以上に渡り、全米各地の大手日系企業に対して、駐在員に関連する税務サービスを提供。米国公認会計士協会、米国ペイロール協会所属。

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