2017/12/22発行 ジャピオン947号掲載記事

スペシャリストに聞く

④H1B以外の就労可能ビザ

今月のテーマ:H1Bビザの準備

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


H1Bビザ以外にどのような就労ビザの選択肢があるのか、また取得のために学生が在学中からどのようなことを心掛ければビザ申請に有効になるのか、専門家に聞いた。



H1Bビザ以外で、米国内での就労が許可されるビザは?

 米国内での就労を許可するビザの例としては、次のようなビザが考えられます。
・E1(貿易駐在員ビザ)
・E2(投資駐在員ビザ)
・L1A(管理職駐在員ビザ)
・L1B(専門職駐在員ビザ)
・Iビザ(ジャーナリストビザ)
・Oビザ(卓越能力者ビザ)

 ただし、H1Bビザだけでなく、他のビザも取得が難しくなっているのが現状です。

 Lビザは大手企業の社員しか取得できなくなっていますし、Eビザはさまざまな条件をクリアしなければなりません。従来は、日本食レストランがすしシェフを雇用するためにEビザを取得することも可能でしたが、現在では取得できなくなっています。

 Oビザも高い能力がなければ取得は困難ですが、ファインアートを専攻している学生の場合は、個展を開催するなど早めに準備をすれば、ビザを取得できる可能性はあるでしょう。



H1Bビザを却下されて、他の方法で就労ステータスを取得した事例はありますか?

 当事務所で扱ったケースでは、次のようなケースがあります。

・H1Bを取得できなかった建築家が、再度大学に戻ってF1/CPTプログラム(CurricularPractical Training)で働きながら勉強を続けたことで、やる気と能力が認められ、雇用主のサポートを得て永住権を取得しています。

 このプログラムでは、カリキュラムの一環として企業で実地研修を受けながら収入を得ることが可能で、しかもOPT(Optional PracticalTraining)カードは必要ないため、移民局の就労許可を取得する必要がありません。専門分野での職務経験を積むことができる、勤務先から収入を得ることが許可される、さらに、米国で働く意志を雇用主に強くアピールできる、などのメリットがあり、永住権のサポートをしてもらえる可能性も高くなります。ただし、CPTのプログラムを提供している学校が住んでいるエリアにあるとは限らず、学校に戻るので学費がかかります。

・OPT期間の学生がPERM申請(最も一般的な雇用ベースの永住権申請)を経て永住権を取得したケースは複数あります。この方法は特にSTEM(科学/Science、技術/Technology、工学/Engineering、数学/Mathematics)の学生にとっては有効です。

・グラフィックデザイナーでO1ビザを取得できたケースもあります。このクライアントは米国に留学する前、母国ですでにグラフィックデザイナーとして活躍していた実績があったため、O1ビザの条件を満たすことができました。



米国修士号以上枠で申請するとどのような点で有利ですか?

 米国修士号以上枠の上限は2万件です。申請数がその上限を超えた場合は申請書類審査の前にコンピュータによる無作為抽選が実施されますが、この枠で抽選に漏れた場合でも、通常のH1B枠で再度抽選の対象となるため、抽選で選ばれるチャンスが2回あるという点では有利です。ただし、米国修士号以上枠で申請するには、その大学が公立大学か、私立大学の場合は「not-for-profit」であることが条件です。



米国内での就職を目指す外国人学生へのアドバイスは?

 今後、H1Bはますます取得しにくくなると予想されます。在学中から仕事とマッチするディグリーを取得すること、OPT中は永住権をサポートしてもらえるよう、雇用主と良好な関係を築くことに努めるようにするといいでしょう。

〈おことわり〉
 当弁護士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の弁護士にご相談ください。



SPECIALIST

ピーター・トーベン・ジェンセン弁護士

コロンビア大学ロースクール卒業。大手法律事務所での勤務後、1996年にジェンセン&ジェンセン法律事務所を設立。ミッドタウン、クイーンズの2カ所にオフィスを構え、非移民ビザや永住権申請、会社設立、雇用法、ビジネス、投資家の相談など、米国移民法に関連した幅広いニーズに対応。

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