2017/12/15発行 ジャピオン946号掲載記事

スペシャリストに聞く

③H1B取得の現状

今月のテーマ:H1Bビザの準備

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


H1Bビザ取得は年々難しくなっている。特に、従業員が10人以下の企業に対する移民帰化局の審査は、厳しいだけでなくビザが取り消されるケースもある。確実に人材を雇用するにはどうしたらいいだろうか。



規模の小さい企業がスポンサーとなった場合は、H1Bビザが認可されにくいと聞きました。

 H1Bビザの審査は年々厳しくなってきており、法律には企業規模に関する規定はないにもかかわらず、現実には、移民帰化局は規模の小さい企業には専門職を雇用する必要がないと判断する傾向があり、従業員が10人以下の企業に対して追加書類の提出を求めるようになっています。

 その申請者を雇用しなければならないほど専門的な仕事であると証明するように求められたり、場合によっては職場の写真を提出するように求められるケースもあります。

 また、H1Bビザ発給後も、申請内容と実際の仕事に違いがないかどうか抜き打ちでサイトビジット(移民帰化局の職員が実際に職場を訪れて行う査察)を実施したり、ビザを取り消す(revoke)ケースもあり、こうした事例はこの2年間でますます増えています。



スポンサーになれる企業の条件はありますか?

 専門職(パートタイムでも可)を雇用する必要があり、その職種に応じた賃金を支払うことができる企業であればスポンサーになることができます。ただし、H1Bビザに該当する専門職の給与は、今後引き揚げられる可能性があります。



認可を受けるのが難しい職種や学位(ディグリー)は?

 企業の規模、業種、職種、大学の学位によってH1Bビザの認可を受けやすいかどうかが変わります。通常、政治学、文学、哲学、リベラルアートなどのディグリーでは職種との関連性を証明するのが難しいです。10年前なら、大学のディグリーがその仕事に必要であると証明することが可能で、リベラルアートでもH1Bビザの認可を受けられました。しかし、現在では、会計事務所が会計士を雇用する場合のように、大学の学位と職種との関係性が完全にマッチしなければ認可を受けられなくなっているのです。

 業種別で言うと、一般的に、レストランは大学卒のディグリーを持つ専門職が必要であると移民帰化局を説得するのは難しいです。ただし、チェーン展開をしているような規模が大きい企業の場合は認可されやすいです。また、労働局はセールスの仕事は大学のディグリーを必要としないとしているため、特殊な知識が求められるような場合を除いては、セールスの仕事でH1Bビザを取得する事は難しいです。



H1Bビザを申請せずに、永住権を申請することは可能ですか?

 可能です。永住権は「ビザ免除プログラム(Visa Waiver program / VWP,ESTA)」で入国したツーリストを除き、合法的なステータスを保持している場合、または海外に居住している場合でも申請をすることができます。

 従って、OPTからすぐに永住権を申請することも可能です。しかも、日本人が雇用を通じて申請する場合は申請開始から1年ほどで永住権を取得することができ、場合によってはH1Bステータスでの就労開始時期よりも早く取得できることがあります。認可される可能性が低いにもかかわらず、H1Bビザ申請にコストや時間をかけなければならないことを考えると、雇用主にとっても、いい人材がいればOPTからすぐに永住権を申請するのは非常に合理的な方法だと言えます。現実にこの2年でH1Bビザの申請件数は減少し、永住権を申請するケースが増えています。

 現在OPTで働いている人は、雇用主に永住権のスポンサーになってもらうことを打診してみてもいいかもしれません。ただし、雇用主がその人の能力を高く評価していることが必要なので、OPTで働き始めたばかりでは雇用主を説得するのは難しいでしょう。OPTから永住権を申請する場合は、タイミングが非常に重要です。

〈おことわり〉
 当弁護士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の弁護士にご相談ください。



SPECIALIST

ピーター・トーベン・ジェンセン弁護士

コロンビア大学ロースクール卒業。大手法律事務所での勤務後、1996年にジェンセン&ジェンセン法律事務所を設立。ミッドタウン、クイーンズの2カ所にオフィスを構え、非移民ビザや永住権申請、会社設立、雇用法、ビジネス、投資家の相談など、米国移民法に関連した幅広いニーズに対応。

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