2014/11/07発行 ジャピオン787号掲載記事

スペシャリストに聞く

①法人の種類

今月のテーマ:企業会計の基礎知識

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


今月は企業会計の基礎知識について。今回は会社の形態と、それに関係した税金などについて聞きました。

 

法人登録の手順について説明してください。

まず法人の形態を、LLC(Limited Lia-
bilityCompany/有限責任会社)かコーポレーション(株式会社)にするかを決め、次に有効な社名を決めます。多くの書類に記載されるため、長い社名は途中で省略されてしまう可能性があるので、お勧めできません。有効な社名と住所があれば法人登録できます。

 その後、EIN(Employ- ment Identification Number)を申請します。EINの申請は、会社の責任者がソーシャルセキュリティー番号を持たない外国人でも申請することができます。

LLCの特徴について教えてください。

LLCは小規模の法人形態です。責任が有限なので、会社のメンバー(出資者)は各自が出資した金額に対して責任を負いますが、会社全体や、他のメンバーの債務や義務に対して責任を負う必要はありません。個人事業主(SoleProprietorship)とは異なり、さまざまな法的責任から個人財産を保護することができます。

 LLCのメリットはメンバーの個人所得のみに課税されるため、二重課税が生じない点です。ただし税制上、普通の株式会社としての取り扱いを受けることを選択することもできます。米国外在住の人がメンバーとして出資者になった場合、そのメンバーは米国で個人の税金申告を行わなければなりません。これを避けたい場合は、株式会社と同じ税務上の取り扱いを選択する必要があります。

 LLCは小規模の法人形態であるため、大規模な事業展開には適していません。また、ニューヨーク州で登録を行った場合は、新聞広告を出さなければならないという規定があり、そのための費用(1300~1800ドルほど)が余計にかかります。この規定はニュージャージー州やコネティカット州にはありません。また、コーポレーション設立の場合も、新聞広告の必要はありません。

Cコーポレーションの特徴は?

Cコーポレーションのメリットは、一般投資家から投資資金を調達できることで、株の譲渡も容易です。多額の資金が必要な場合や、将来ビジネスを拡張したい場合、上場準備中の会社に向いています。会社は株主・取締役・役員など、構成員とは別の法人格を持つため、各構成員の責任は有限となります。

 一方、法人の利益に対して法人税が課税され、その後、配当の時点で株主に所得税が課せられるため、二重課税になるのがデメリットです。

Sコーポレーションの特徴は?

Sコーポレーションも株式会社で有限責任です。Cコーポレーションを設立した上で、IRSに対して「SubchapterS Election」を提出しすると、Sコーポレーションとなります。LLCには課せられる「Self-EmployedTax」がありません。株主は会社の従業員と同様に給与を受け取り、残りの利益は株数によって分配します。

 州によっては、会社に多少の州税がかかりますが、連邦税はなく、株主が個人の申告に会社の利益を加えて納税します。会社の利益に対する所得税のみで社会保険税はかからないため、節税対策としてよく用いられます。

 デメリットは、株主は全員米国居住者でなければならない、株主の数が75人を超えてはいけない、などの制約があることです。
 
〈おことわり〉
 当会計士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の会計士にご相談ください。

5

ジェームズ・ナム会計士

韓国の大学で会計と税を専攻し、卒業後8年間、韓国国内の会計事務所で業務を経験。その後、ニューヨーク市立大、ニューヨーク州立大で会計を専攻。卒業後、1987年から米国内会計事務所にて会計業務を経験し、2000年4月、現事務所を開業。

AA & TC, Inc.

TEL
212-594-0074
MAIL
aatcmail@gmail.com
WEB
http://www.allstateustax.com
MAP
1220 Broadway, Suite 706 (bet. 30th & 31st Sts.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画