2014/10/31発行 ジャピオン786号掲載記事

スペシャリストに聞く

⑤ 永住権と市民権の違い

今月のテーマ:永住権抽選プログラム

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


永住権と市民権はどんな違いがあるのか、また永住権を取得したら、市民権はどのような条件で申請できるのか聞きました。

 

「永住権抽選プログラム」に関して、何か新しい展開はありますか?

実は、このプログラムを中止する法案が国会に出されています。この法案が可決されると、「永住権抽選プログラム」はなくなります。現時点で、「DV2017」以降のこのプログラムの存続は不明です。

永住権には期限がありますか?

かつては、永住権資格証明書(永住者カード)に期限は記載されていませんでしたが、現在発行されている永住者カードには10年の期限が付いています。

 これは米国に永住する権利が10年で失効するということではなく、10年ごとに手数料(445ドル/このうち85ドルは指紋採取のためのセキュリティー料金)を払って永住者カードの書き換え手続きを行わなければならないということです。

 この更新手続きを忘れ、永住者カードの期限が切れていると、入国の際などに注意される場合があります。更新を忘れていても永住権を剥奪されることはありませんが、永住者カードの有効期限が切れる6カ月前に更新手続きを行うことが望ましいとされています。

永住権と市民権の違いについて教えてください。

永住権は、外国人に米国に永住する権利を与えるものです。ただし条件付き永住権の場合は2年間有効の永住権が発給され、延長手続きを行わないと失効します(詳細は4回目を参照)。

 一方、市民権を取得するということは、米国に帰化して米国人としての権利を得るということなので、選挙権が与えられます。永住権保持者には選挙権は与えられていません。

 また、市民権を持っていると、長期間、米国を離れていても市民としての資格を失いません。永住権は永住する意志がある人に与えられるものなので、長期米国を離れると永住する意志がないと見なされる場合があり、永住権を失う可能性があります。米国に永住する権利を失わないために市民権を取得する人が多いです。

 もう一つの大きな違いは、重罪を犯した場合、永住権保持者は母国に強制送還される可能性があることです。市民権保持者にはそれはありません。

 さらに米国市民になると、米国外にいる家族の永住権のスポンサーとなって、家族を呼び寄せることができます。永住権の場合は呼び寄せられる家族の範囲が非常に限られており、永住権取得までの待ち時間も非常に長く、3、4年かかることもあります。そのため、配偶者の両親を米国に呼び寄せるために市民権を取得する人は多いです。

 また米国政府機関で働く場合、ポジションによっては、応募できるのが米国市民のみだったり、一部のベネフィットや奨学金などが米国市民のみに与えられるものもあります。

市民権を取得した方が良いのは、どのような場合ですか?

一般的には、これからも米国に住み続け、日本に戻る予定が全くない人。また家族も皆、米国に住んでいて、仕事も米国にある、というような場合は市民権を取得してもいいかもしれません。

 一方、米国は二重国籍を認めていますが、日本は認めていないので、米国市民権を取得すると日本の国籍を失う可能性があります。ですから、少しでも日本に戻る可能性がある方には、市民権の申請はお勧めしていません。

〈おことわり〉
 当弁護士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にお尋ねください。

0

ボアズ麗奈弁護士

東京都出身。ニューヨーク州弁護士。ニューヨーク大学経済学部、フォーダム・ロースクール卒業。2010年ReinaBoaz Law,PLLCを設立。移民法を専門とし、会社設立、雇用法など、様々な法的サポートを提供している。

Reina Boaz Law, PLLC

TEL
212-960-3953
MAIL
info@reinaboazlaw.com
WEB
http://www.reinaboazlaw.com
MAP
225 Broadway, Suite 3005 (bet. Barclay & Vesey Sts.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画