2017/07/28発行 ジャピオン926号掲載記事

スペシャリストに聞く

④海外で安全に暮らす

今月のテーマ:防犯

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


好景気の影響でニューヨークでは全体的に犯罪が減少傾向にあるとはいえ、犯罪は形を変えて起こっている。今だから気をつけたいポイントについて専門家に聞いた。



強盗や引ったくりでは、ラップトップパソコンやスマホが狙われにくくなったとうかがいました。近年、そうした犯罪のターゲットになりやすいものはありますか?

 自転車は昔からよく狙われるアイテムなので、皆さんも駐輪中もタイヤやサドルを外すなど防犯に気を配っていると思います。最近では1000ドル以上する高級自転車が多く出てきて盗難のターゲットになっています。

 盗難が多い要因はいくつかあります。まず日本のように自転車の登録制度がないこと。人権保護主義が強く、警察が盗難車所有者と思しき人にむやみに尋問できないのが、この犯罪が減らない理由です。

 自転車は前記のように登録制度がないため、転売されやすく、盗難後にはネット掲示板にすぐ出てくるといわれます。

 防犯対策としては個々人がGPSを自転車に装着し、万一の盗難時にはスマホアプリで追跡します。それを警察に報告する方法が一番有効とされています。



スキミング(クレジットカードや銀行カードの情報盗難)の被害の現状を教えてください。

 クレジットカード、銀行カードの情報を読み取る方法が磁気テープ方式からチップ方式に変わりつつあります。そのためこれまでスキミングに使われてきた装置が無効になってきました。

 ですが、一方で以前からありましたが、レストランのウエーターなどによる情報詐取被害は引き続き起きています。手口としては、客からカードを受け取り、誰も見ていないところでカード情報を盗むというもので、手法はカードの表裏をスマホで撮影し、後にその情報を使ってオンラインやテレフォンショッピング(ギフトカードなど)を少額でこまごまと買っていくというアナログな手口が今も横行しています。

 対策はカードのステートメント(請求明細)を毎月きちんと確認し、身に覚えのない請求やお金の動きがあったら即カード会社に連絡するのが一番大切です。



ニューヨークでの誘拐の危険は?

 近年、中東や南米、アジアで在外邦人が誘拐される事件が後を絶ちませんが、ニューヨークでの邦人の誘拐事件というのはあまり聞きません。ですがアメリカでも誘拐事件は起きていますから、用心するに越したことはありません。誘拐犯は多くの場合、金銭または政治的に利益のあるターゲットを決めて犯行に及びます。そのためターゲットのルーティン行動に付け入る傾向を持っています。誘拐を防ぐために有効なのは、通学や通勤のコースと時間帯をこまめに変えるという方法です。



銃犯罪に巻き込まれないようにするためにはどんな点に気をつけたらよいでしょうか?

 ニューヨーク市内では、銃の所持が厳しく管理されています。基本的には警察や警備関係者、そして一部の例外を除いて銃を携行することは許されていません。そうした状況なので、銃を持っているとしたら、違法に入手した銃である可能性が高いです。そうした非合法銃の所持者は犯罪常習者であることが多く、犯罪多発エリアに足を踏み入れないことが一番身を守るために必要なことです。



危険とは思われなかったエリアでテロが発生したら、どのように身を守ればいいのでしょうか?

 われわれセキュリティー会社もイベントなどではテロを防ぐために、金属探知機を4重にかけたり、爆弾を探知するよう訓練された警察犬を配置したりと最大限手立てを講じます。

 ですが、昨年秋にチェルシーで圧力釜を改造した手製爆弾が爆発した事件や、今年5月にタイムズスクエアで観光客の列に暴走車が突っ込み死者が出た事件などのように発生を予測しにくい状況で、事件に遭遇した場合は不運としか言いようがありません。とはいえ、そうした中でも助かった人の多くが、一瞬のうちに異変を察知し、その場からすぐに立ち去るなど、自己判断で危機から脱しているのは確かです。例えば周りがざわついているのに、スマホで周囲を撮影しようとしていたり、歩きスマホで、周囲に気を配っていないために、周囲の危険を察知できないというのは言語同断です。

 犯罪に巻き込まれないためには、海外で生活していることを忘れず、常に緊張感を持ち、有事の際に適切な対処ができる情報を持っていることが一番大切だと考えています。

〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。



SPECIALIST

橋本晃宏さん

Safeco Risk Control, Inc.代表。1995年からセキュリティー関連のビジネスを始め、2004年に同社設立。セキュリティーシステム・スペシャリスト、リスクアナリストとして個人・企業向けに防犯管理サービスを提供している。元カリフォルニア州立短大講師。

Safeco Risk Control, Inc.

WEB
http://www.safecosurveillance.com

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