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編集部員がアートを巡る連載エッセイです。
編集部員A
■外国語学部を卒業し、写真専門学校へ。某新聞社系出版社の写真部を経て、フリーランスのカメラマン兼ライターに。現在、弊紙編集部で書いて撮って編集を担当。趣味は映画と犬の散歩。食べること、飲むことが大好き。
布と布の間に薄く綿を詰め、縫い合わせるキルト。アメリカで広がったその歴史は奴隷制時代にまでさかのぼる。一つの大きなキルトを複数人で作る「キルティングビー」という文化が、18世紀から19世紀にかけてアメリカ南部の黒人女性たちの間で流行ったそうだ。キルト作りは彼女たちの仕事であると同時に、社交場としての側面もあったという。
キルト文化は黒人女性アーティスト、フェース・リンゴールドの家系にも受け継がれた。1930年に生まれた彼女はハーレムで育つが、曽祖母が奴隷だったこともありその歴史については幼い頃から聞かされていたそう。
現在、フェースの回顧展「フェース・リンゴールド:アメリカン・ピープル」がソーホーのニューミュージアムで行われている。彼女の代表的なキルト作品をはじめ初期の絵画作品や立体作品などが展示されており、幅広いメディアを用いてアメリカについて考察するものとなっている。
代表作「ストーリーキルト」には大きなキルトに細かく絵が描かれ、周りには小さな文字でそのストーリーが書かれている。まるで絵日記のような作風は、一般的な絵画とは少し違った印象を受ける。描かれる内容は自身の幼少期や家族、親戚と思しき人々の身近な出来事だが、一見パーソナルに見える題材を用いて、人種差別や男性優位社会について静かに語り掛けてくる。フェースがキルトでこのようなテーマを扱うことになったきっかけとは。次回は彼女の初期作品から最新作にまで触れて展示を深掘りしていく。
New Museum
235 Bowery
TEL: 212-219-1222
newmuseum.org
【会期】6月5日(日)まで
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