2017/04/07発行 ジャピオン910号掲載記事

スペシャリストに聞く

基礎知識①

今月のテーマ:不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。


ニューヨークでアパートやコンドミニアムなどの物件購入を考える際の基礎知識について聞いた。他の土地と比べた場合のニューヨークの不動産物件とその市場の特徴はどうなっているのだろうか。



ニューヨークの不動産市場の特徴について教えてください。

 ニューヨークの不動産物件市場の大きな特徴は、 景気変動の影響を受けにくく、たとえ値下がりすることがあっても、その下がり幅が小さいことです。そのため住居用としてだけでなく投資目的で物件を所有する人も多いです。また、現金で購入する人が多く、約3割が現金購入であるといわれています。

 コンドミニアムよりもコープが多いのもニューヨークの物件市場の特徴です。マンハッタンでは物件の3分の2程度がコープ、クイーンズでは地区にもよりますが、圧倒的にコープが多く、ブルックリンもコープのほうが多くなっています。ただし、ここ20年くらいの間に建てられた物件はコンドミニアムが多いです。

 日本との違いで言うと、不動産物件は新築はもちろん、中古でも価値が下がらないのが大きな特徴です。

 新築と中古物件を比較すると、同じような物件でも、一般的に新築物件価格は中古物件よりも1、2割程度割高になります。また、新築物件を購入する場合はトランスファータックスがかかります。従って、日本とは異なり、ニューヨークでは必ずしも新築物件を購入した方がいいということにはなりません。



近年のニューヨークの不動産市場の動向は?

 リーマンショック後の2008年以降は、ニューヨーク以外の州、例えばフロリダでは8割も不動産価格が下落したところがありましたが、ニューヨークでは2割程度の値下がりに留まったと聞いています。しかも、2011年頃からは価格が上昇し始め、リーマンショックで下落した分は数年で回復しています。現在では、例えばロングアイランドシティーやハーレムなどでは、物件価格が2倍になっているところもあります。

 新築物件に関して言えば5、6年前ごろから、土地の価格が高騰してハイエンドなビルを建てないとビルダーの利益が出なくなってしまうという背景があるためか、手の届く物件は減っています。このため、マンハッタンの新築ビルでは500万ドル、1000万ドルの物件も多く、この価格帯の物件は、ここ2、3年マーケットの動きがやや鈍っています。

 一定の価格帯以上の高価格物件においては、値下がりや売り手との価格交渉の余地も出てきているようです。例えば、少し前までは売り手市場でいくつものオファーが入るため競争率が上がり、20%の頭金を用意しても買えないことが多々あり、価格交渉の余地もありませんでした。しかし、現在では売り手の側にある程度交渉に応じる柔軟性がないと、よいオファーが来ても売るタイミングを逃してしまう場合も出てきています。マーケットの調整期に入ったと言えそうです。

 一方、 手頃な価格帯の物件は、現在でも、マーケットに出ればすぐに売れるという状況が続いています。



ニューヨークで物件を購入する利点は?

 前述したように、ニューヨークの不動産物件は価格の上昇率が高く、値下がりすることがあっても値下がり率が低いため、住居用としても投資目的でも購入するメリットがあります。ただし、不動産投資が目的の場合は、短期間での値上がりを期待するのではなく、少なくとも5〜7年待つつもりで購入することをおすすめします。

〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。


specialist

池上奈津子さん

ニューヨーク州公認不動産ブローカー。ウィスコンシン大学卒業、ロヨラ大学シカゴ校でMBA取得。銀行、金融機関勤務を経て、2008年より不動産エージェントとしてマンハッタン、ブルックリン、クイーンズの物件を扱う。

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