2016/09/23発行 ジャピオン883号掲載記事

スペシャリストに聞く

④エリア別の特徴

今月のテーマ:不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

最終回は、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズの物件市場の特徴について聞いた。また、初めて物件購入を考える場合は、無理をせず、予算内で確実に購入できる物件を探すという心構えが大事だ。


マンハッタンの不動産マーケットの特徴は?

 現在の不動産マーケット(以下便宜上コープも含む)は少し前のような完全な売り手市場ではなくなり、調整期に入っていると言われています。例えばニューデベロップメント(新築)を中心とした高額物件の動きはスローダウンしており、様子見の状態が続いています。

 売り手であるデベロッパーには厳しい状況ですが、買い手からすると契約交渉などで、以前より良い条件での購入ができる可能性がありますので、この手の物件は買い急がないことが大切です。またマンハッタン内でも各エリアにより動きに大きな差がありますので、特に新築物件に関しては供給過多なエリアには注意が必要です。

 一方、リセール(中古)物件を中心に、買いやすい価格帯の物件は相変わらず激しい動きを見せており、値ごろ感のある物件には複数のオファーが入るという状況は変わっていません。激しい競争を勝ち抜くには入念な準備とプランが不可欠です。


ブルックリンの物件市場の特徴は?

 マンハッタンと比べ、大型のニューデベロップメントが少ないブルックリンでは相変わらず物件不足が続いています。そのため、コープ、コンド、タウンハウスと、物件の種類に関係なく、適正価格である物件に関しては物件が市場に出れば右から左に売れる状況が続いています。

 ただしやはりマンハッタン同様、以前のような完全な売り手市場ということはなく、高値を付け過ぎていることにより、いつまでも買い手がつかずマーケットに残っている物件も目立ってきています。

 マンハッタン同様、賃貸率が 7割近いブルックリンでは、物件維持コストがマンハッタンより低いこともあり投資目的の物件もコンスタントに動いており、特に150万ドル前後のタウンハウスは人気があります。

 ブルックリンはあらゆるエリアで変化が進んでいるので、丁寧に探していけば自宅用でも投資用でもいい物件が見つかるはずです。


クイーンズの物件市場の特徴は?

 最近メディアでも取り上げられることが増えたクイーンズですが、不動産マーケットは両極端という状況です。ロングアイランドシティーを中心としたマンハッタンに近いエリアでは、新築・築浅のコンドが建ち並び、既にブルックリン価格が付けられている状況です。マンハッタンに近いという利便性が魅力ですが、買い物やサービス、学校や公園など、必要な生活インフラが整っているかどうかには注意が必要です。

 一方、ジャクソンハイツやフォレストヒルズなど、マンハッタンからある程度距離があるエリアでは、コープを中心に、マンハッタンやブルックリンより圧倒的に安価な物件が多く見つかります。またエリアやサイズによりますが、100万ドル以下の一軒家を購入することができるというのもクイーンズの魅力といえます。特に車があって駅から近くなくてもいいような場合は、庭付きのすてきな一軒家を手に入れることも十分可能です。


ニューヨークで物件を購入する場合の考え方は?

 物件の購入プロセスは一筋縄では行かないことも多くあります。その意味では、物件探しや購入プロセスの途中で意志や目的がぶれない様に、「賃貸をやめて購入をする」ということの意味を事前にしっかりと理解してスタートすることが大切です。そのために専門家のアドバイスやネットワークを大いに活用して、素敵な物件の購入をしていただきたいと思います。


matsumoto

松本哲夫

ニューヨーク市最大手不動産会社の一つコーコラングループに勤務し、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズで年間20件以上の不動産の売却と購入を手掛けるニューヨーク州公認不動産エージェント。自身も不動産投資、大家業を行う、当地での不動産のプロフェッショナル。2児の父で、学校事情にも明るい。

Tetsuo Matsumoto, Licensed Real Estate Salesperson

TEL
914-374-7195
MAIL
ted.matsumoto@corcoran.com
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