2016/09/09発行 ジャピオン881号掲載記事

スペシャリストに聞く

②購入前に知っておくこと

今月のテーマ:不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

物件購入には、まず、ニューヨーク不動産市場の競争の激しさを理解することが重要。また、コープかコンドミニアムかでは購入できる物件や条件が大きく異なるので注意が必要。


日本人がニューヨークの物件を購入する際に必要な心構えは?

 ニューヨークの不動産市場は常に変化しているため、情報収集を十分に行い、しっかりとした購入計画を立て、臨機応変に動くことが大切です。

 例えば、現在のマーケットでは、値頃感のあるリセール(中古)物件には複数の入札が入ることも珍しくなく、その場合にはハイエスト・アンド・ベストと呼ばれるサイレントオークション形式で落札者が決定されます。

 一般的にモーゲージ(住宅ローン)の頭金は多いほうが有利になりますが、全額現金での購入は圧倒的に有利であるため、条件が許すようであれば、現金で購入してからローンを組むという方法もよく使われます。

 一方、ニューデベロップメント(新築物件)など、高額になり過ぎた物件については供給過多であることからマーケットのスローダウンが起こり、昨年末から今年にかけてスポンサー(売主)の柔軟姿勢が目立ってきています。そのためこの手の物件ではスポンサーとうまく交渉することにより、かなりよい購入条件を引き出せることが多くあります。


物件を見る時の注意点は?

 まず、必ずバイヤーズエージェント(不動産ブローカー)を雇い、常にエージェントの意見を参考にすることです。特に現在のような調整期のマーケットでは、常にマーケットの第一線で売買を行っている経験豊かなエージェントの情報は重要です。また、ニューヨーク州では物件購入の責任が 100%購入者にあることからも、「物件探しの前にエージェント探し」といわれるほど経験と能力の高い不動産エージェントを雇うことは大切です。

 初めてマイホーム探しをするときなどは、ついついインテリアなどを含めた物件の見た目に気持ちがいってしまいがちですが、購入後に変更することができる部分だけではなく、ロケーション、構造、財務状況、ハウスルールなど、購入後に変更することができない部分に注意を払うことが重要です。もちろんこれはバイヤーズエージェントの大きな役割でもあります。


コンドミニアムとコープの違いは?

 コンドミニアムは不動産(Real Property)ですが、コープは不動産ではありません。コープとはコーポラティブハウスのことですが、ごく簡単にいうと、そのビルを所有している会社の株式を購入し、株主になることで、ビル内にある特定のユニットをリースして使用することができる権利を得るのがコープです。

 コンドミニアムに比べて物件価格が安いことやクロージングの際のコストが低いのが魅力ですが、インベスターの購入を禁止しているビルが多いため投資には向きません。またマイホームとして購入する場合でも、住宅ローンと収入の比率や、購入後の流動資産残に対するルールなどがある上、コープを管理するコープボードには購入を拒否する強い権限があります。このため、お金があるから買えるというわけでもなく、コンドミニアムよりも購入時の条件が厳しいのが一般的です。

 ただ、そういった条件をクリアすれば同じ条件のコンドよりも価格の低いコープは非常に魅力的な選択肢といえます。

 一方、コンドミニアムはコープに比べて購入条件も緩やかであり、インベストメントとしての購入に対してもほとんど規制がありません。ただし、物件価格はコープよりもかなり高額となります。

〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。


matsumoto

松本哲夫

ニューヨーク市最大手不動産会社の一つコーコラングループに勤務し、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズで年間20件以上の不動産の売却と購入を手掛けるニューヨーク州公認不動産エージェント。自身も不動産投資、大家業を行う、当地での不動産のプロフェッショナル。2児の父で、学校事情にも明るい。

Tetsuo Matsumoto, Licensed Real Estate Salesperson

TEL
914-374-7195
MAIL
ted.matsumoto@corcoran.com
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