2016/09/02発行 ジャピオン880号掲載記事

スペシャリストに聞く

①NY不動産の基礎知識

今月のテーマ:不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

ニューヨークでアパートやコンドミニアムなどの物件購入を考える際に知っておくべき基礎知識について聞いた。ニューヨークの不動産物件とその市場にはどのような特徴があるだろうか。


ニューヨークにおける最近の不動産市場の特徴について教えてください。

 マイホームとしてのローカル需要に加え、世界中から投資や節税目的でバイヤーが集まるのがニューヨークの不動産マーケットです。そのため物件の購入においては競争率が非常に高く、また現金での購入者が多いことが特徴で、これは特にマンハッタン、ブルックリンの物件に強く見られます。

 一方、持ち家率が60%であるクイーンズは、マンハッタンに近い一部のエリアを除き、ローカル色の強いマーケットであることもあり、比較的手頃な価格の物件も見つかります。

 物件の購入・賃貸どちらにも言えることですが、ニューヨークには常に世界中から景気がいい国の買い手や借り手が訪れます。そのため、米国の他の地域と比べ、マーケットが強く下支えられています。

 もちろん物件価格の上下は常にありますが、景気の悪化後も比較的早く市場が立ち直るという点が、他のマーケットとは決定的に違うところです。

 またインターナショナルバイヤーからは、お金を自国に置いておくと高い税金を納めなければならないため、それを避ける目的で、資産の一部をニューヨークの不動産として置いておく(お金を「パークしておく」)という話もよく聞きます。このような物件は貸しに出されることもありますが、オーナーがニューヨークに来たときにセカンドハウスとして利用するだけで、普段は誰も住んでいないというような場合も多くあります。


現在のマンハッタンの住宅事情は?

 全米の持ち家率の平均は約60%ですが、マンハッタンでの持ち家率は約30%で、賃貸率が非常に高いことが特徴です。

 世界中から集まる人々による高い賃貸需要は極めて低い空室率と上昇しやすい賃貸市場を生み出し、それがマンハッタンが大家天国と言われる理由でもあります。

 ただ、今年に入ってマンハッタンの賃貸マーケットは調整期とも言える状況に入りました。高くなりすぎた賃料と景気の動向から、賃料は横ばいからやや下落傾向となっており、大型のレンタルアパートメントでは、更新時の賃料据え置きや、新規契約時には1カ月無料などの割引が見られるようになっています。

 また、売買に関しては値頃感のあるリセール(中古)物件は相変わらず人気がありますが、新築コンドミニアムに代表される高級売買物件市場は様子見傾向が強く、スローダウンしています。このため物件にもよりますが、新築物件の売買においては、これまで強気な販売を続けていたスポンサー(新築物件の売主)から、交渉次第で以前よりもかなりよい条件を引き出せる状況になっています。


ニューヨークで不動産物件を購入する利点は?

 これは購入する人の状況や購入理由によって大きく変わります。非常に大ざっぱに言えば、米国に長期滞在する場合は、いろいろな意味で物件を購入するメリットが大きくなります。特に資産形成や、上昇していく家賃や物価に対するヘッジ効果、購入による節税や将来的にファイナンシャルフレキシビリティーが得られることなどは購入理由としてよく挙げられます。

 ただ、そういった金銭面での利点だけではなく、マイホームを購入することで得られる充実感、満足感は、ニューヨークで自分らしいライフスタイルを実現するための基盤としての面も非常に重要だと思います。

〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。


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松本哲夫

ニューヨーク市最大手不動産会社の一つコーコラングループに勤務し、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズで年間20件以上の不動産の売却と購入を手掛けるニューヨーク州公認不動産エージェント。自身も不動産投資、大家業を行う、当地での不動産のプロフェッショナル。2児の父で、学校事情にも明るい。

Tetsuo Matsumoto, Licensed Real Estate Salesperson

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