2016/08/05発行 ジャピオン876号掲載記事

スペシャリストに聞く

①ソーシャルセキュリティー

今月のテーマ:米国での年金プラン

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

リタイア後の生活設計を始めるのは早ければ早いほどいい。米国の年金プランにはどのような選択肢があるか、また、ソーシャルセキュリティーの本来の目的やソーシャルセキュリティー・タックスの支払い方法について聞いた。


米国でリタイア後に受けることのできる年金には、どのようなものがありますか。

 主なものには公的年金である「ソーシャルセキュリティー(Social Security/ SS)」、「個人退職口座(Individual Retirement Account/ IRA)」、企業年金の「401k」などがあります。また、最近はさまざまな「アニュイティ」が出てきています。これは、民間の保険会社が提供している、一生涯受け取ることのできる年金プランのようなものと考えると分かりやすいでしょう。


ソーシャルセキュリティーの制度を教えてください。

 ソーシャルセキュリティーは公的年金で、受給開始後、亡くなるまで受け取ることができるため、最近はこれを老後のメーンの収入として受け取る人が増えてきたようです。しかし、本来、ソーシャルセキュリティーは、個人が積み立てるお金だけでは老後の生活には不十分なため、これを補うことを目的としてできたもので、メーンの年金として設計されているものではありません。

 現在のフルリタイアメント年齢は65~67歳(1960年以降に生まれた人は67歳)で、この年齢以降に受給を開始すると、ソーシャルセキュリティーを100%受給することができます。


ソーシャルセキュリティーを受け取るための条件は?

 最低条件は10年間で合計40クレジットを得ることです。インフレなどによって変わりますが、1クレジットを取得するためには1260ドル(2016年)の収入を得ることが必要です。この4倍以上(5040ドル以上)の収入があれば、年間40クレジットを得ることができることになります。これを10年間続ければ40クレジット得ることができ、これがソーシャルセキュリティーを受給する最低条件となります。継続して10年間である必要はなく、病気などで途中働けない期間があっても、トータルで10年間40クレジットを満たすことができれば受給資格を得られます。

 最低条件の金額だけを満たしても、受給できるソーシャルセキュリティーの金額は限られています。収入を増やし、ソーシャルセキュリティー・タックスを多く払って、リタイア後に受け取れる金額を増やすようにするといいでしょう。
 
 ただし、ソーシャルセキュリティー・タックスを多く払えば払うほど無制限に受給金額が増えるわけではなく上限があります。公式サイト(www.ssa.gov)で自分の受給額を知ることができます。 


リタイア後の生活設計は、ソーシャルセキュリティーだけで十分ですか?

 前述したように、ソーシャルセキュリティーはあくまでもサプリメントとして考えられています。また、米国も少子化傾向で、将来も今と同じ金額を受け取れるかどうか分かりません。ソーシャルセキュリティーだけに頼るのではなく、IRAや401kも考慮しましょう。


ソーシャルセキュリティー・タックスを払う方法は?

 ソーシャルセキュリティー・タックスを払う方法は2通りあります。会社に勤めていてW2を受け取っているか、または個人事業主などで1099を受け取っている場合はソーシャルセキュリティー・タックスを払うことができます。家賃収入、投資、アリモニー(離婚・別居後に元の配偶者から受け取る生活費)などの所得は、ソーシャルセキュリティー・タックスの対象にはなりません。

〈おことわり〉
 当事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の弁護士にご相談ください。


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吉田成巳さん

自営業を営む両親の影響で16歳から会計・税務を学ぶ。バルーク大学会計学専攻。米国公認会計士(CPA)、税理士(EA)。会計士事務所を経て、現在はAmeriprise Financial Services, Inc.のファイナンシャル・アドバイザー。

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