2016/03/11発行 ジャピオン855号掲載記事

スペシャリストに聞く

②米国の学校形態と選び方

今月のテーマ:米国の学校教育

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

公立、私立学校をはじめ、チャータースクール、マグネットスクールといった米国独特の学校の形態について聞いた。日本人の保護者には気になる、現地校、日本人学校、補習校の選び方についてもアドバイスする。


公立学校と私立学校の違いや特徴を教えてください。

 公立学校は授業料が無料ですが、私立は有料です。その一番大きな違いは予算で、公立はその地域の固定資産税で運営され予算が限られているため、保護者がバザーを行ったり、教師たちが外部団体の補助金を申請したり、生徒がイベントを開催して教材費やクラブ運営費などを集める努力をしています。生徒は学校の運営に関われるので、自立心が養われる利点もあります。

 私立は学費と寄付で運営され、スポーツや外国語教育など特定の科目や大学進学に力を入れるなど、学校ごとに特色を持っています。公立が1クラス最高人数34人に対し、私立は1クラス10人以下のところも多く、少人数で目の行き届いた教育ができます。


チャータースクールとは何でしょうか。

 私立学校の授業料が高額なので増えてきたのが、学区に縛られないチャータースクールです。教育内容の指針を州に申請し、認定されると学校が設立できます。公的資金の援助を受けながらも公立が受ける制約がないため、私立の柔軟性や特色ある教育が可能で、少人数制の学校も多く、「無料で学べる私立」ともいえるでしょう。


マグネットスクールとは何でしょうか。

 特定分野の生徒をマグネットのように学区を越えて引き付ける公立学校です。芸術方面や理数系などに力を入れて学校ごとに特徴を出し、試験やオーディションを受けて合格したエリートが集まります。さらに専攻以外の通常カリキュラムにも力を入れているので、特定の方面を目指す生徒だけでなく、一般の大学に進学したい生徒にとっても良い教育内容になっています。


補習校はどのような内容でしょうか。

 平日は現地校に通う子供のために、土曜日に日本語での授業を実施している私立学校です。日本帰国に備え、子供が日本のカリキュラムについていけるようにする学習指導が目的でしたが、近年では米国生まれの子供たちも通っています。

 現地校の宿題に加えて補習校の宿題もあるため、学年が上がるにつれて負担が大きくなってやめてしまう子供も多いのですが、日本語能力、特に漢字に関してい うなら、小学校6年生まで学習したらかなりの基礎力がつきます。

 後々また日本語の勉強を再開するときにも役に立つと思うので、小学校6年間だけでもぜひ頑張って欲しいです。


現地校や補習校、日本人学校はどのように選んだらいいですか。

 子供の年齢や親の教育方針、駐在員の場合は滞在期間など考慮すべきことはありますが、学校選びには本人の性格と希望を配慮してください。

 日本語でもおしゃべりの苦手な子供に、いきなり現地校に入って英語で話すことを無理強いしてもかわいそうかもしれません。一方で、日本ではおとなしかったのに米国に来たら伸び伸びと羽を伸ばす子供もいます。

 いずれにせよ、本人が学校に行きたくなくなったら意味がないので、子供の性格と希望を考慮してあげましょう。

 米国には学校や教科、クラスにもさまざまな種類やレベルがあり、後で合わなくなっても、転校やクラス替えなど日本よりずっと融通を利かせてくれます。学校は本人の意思を尊重してくれるので、通訳を通してでも臆せずに希望や心配事を伝えてください。
 
〈おことわり〉
 記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。


スクリーンショット 2016-03-02 18.36.07

ワイラー乃扶子(のぶこ)さん

埼玉県出身。NY市立ラガーディア芸術高校日本語教師。1997年来米。ボストン大学教育修士課程卒業後、ボストンおよびニューヨークの公立高校で日本語とスペイン語を教える。北東部日本語教師会 (NECTJ)会員。

Fiorello H. LaGuardia High School of Music & Art and Performing Arts

TEL
212-496-0700
MAIL
Nweiler2@schools.nyc.gov
WEB
http://www.laguardiahs.org
MAP
100 Amsterdam Ave. (bet. 64th & 65th Sts.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画