2016/02/26発行 ジャピオン853号掲載記事

スペシャリストに聞く

④H1Bビザに代わる選択肢としての永住権

今月のテーマ:H1B以外の就労ビザ

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

最近、永住権が申請から1、2年で取得できるようになった。このため、H1Bを申請せずに、永住権を申請するという選択肢が現実的になってきている。OPT期間延長に関する法案の内容についても聞いた。


J1プログラム実施団体について詳しく教えてください。

 J1ビザの研修カテゴリーについては前回ご説明しました。J1プログラム実施団体については、左記の米国国務省のウェブサイトを参照すると良いでしょう。
www.j1visa.state.gov/partic ipants/how-to-apply/sponsor-search/?program=Trainee


H1Bに代わる選択肢としての永住権申請について教えてください。

 会社をスポンサーとして永住権の申請を行う場合、数年前までは申請から取得までに5~7年かかっていました。ところが、最近は国務省の審査が非常に早くなり、1、2年で永住権が発給されるようになっています。雇用主のサポートが得られるのであれば、H1Bビザの申請を行わずに永住権を申請することが現実的になり、最近のトレンドにもなっています。


では、F1ビザから永住権の申請を行うことも可能ですか。

 永住権の申請は、将来的に雇用が約束されていることが条件となります。現在そこで働いていることが条件ではありません。従って、F1ビザの学生でも、この会社で働きたい、という会社があり、その会社が雇用を約束すれば、申請が可能です。また、現在日本に住んでいる日本人でも、将来的に米国の会社で働くことが決まっていれば、永住権の申請ができます。

 会社がスポンサーとなって永住権を申請する場合、第1段階の申請費用はスポンサーとなる会社による全額負担が条件であることが注意点です。


OPT期間も延長されますか?

 OPT期間は通常1年ですが、現在でも、STEM分野の学位取得者を対象にOPT期間を17カ月延長することができます。これが、将来的に24カ月延長できるようになるかもしれません。

 STEM分野とは、科学(Science)、技術(Techno- logy)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を指します。法案が可決されれば、STEM分野の卒業生に限っては、OPT期間が2年延長できるようになります。H1Bビザの申請を行う必要がなくなるた め、OPTで3年働けるようになると、H1Bビザの申請状況に変化が出てくると考えられます。また、時間的な余裕ができる分、永住権の申請などの他の選択肢も選びやすくなるでしょう。この法案が提出された背景には、STEM分野の卒業生が少なく、米国籍の学生だけでは人材が足りないことがあります。


OPT期間が延長された場合の雇用主への影響は?

 STEM分野のOPTを延長した学生を雇用する場合、雇用主にはより複雑なSTEM分野のOPT延長申請が課せられます。また、延長期間中もさまざまなルールに対応しなければなりません。ただし、新しいルールはOPTの最初の12カ月間は対象となりません。


H1Bビザの申請と並行して他のビザを申請するなど、複数のビザを同時に申請することは可能ですか。

 申請方法にもよりますが、H1Bと同時に他の就労許可の申請を行なうことは可能です。ただし、H1Bの抽選で選ばれる可能性を高めるために、同じ申請者が同じH1Bの申請を何度も行うことはできません。これは詐欺行為と見なされます。
 
〈おことわり〉
 当弁護士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の弁護士にご相談ください。


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ボアズ麗奈弁護士

東京都出身。ニューヨーク州弁護士。ニューヨーク大学経済学部、フォーダム・ロースクール卒業。2010年RBL Partners PLLCを設立。移民法をはじめ、会社設立、雇用法など、様々な法的サポートを提供している。

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