2016/01/29発行 ジャピオン849号掲載記事

スペシャリストに聞く

⑤居住地との関係

今月のテーマ:タックスリターン

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

2015年の途中で州をまたいで移転をした場合や、帰国した場合のタックスリターン(確定申告)について聞いた。非居住者やリタイアして給与所得がない場合でも、不動産や株の売却益は所得税の対象になる。


2015年の途中に、他州からニューヨーク州に引っ越してきた場合のタックスリターンの注意点は?

 居住地が変わるまでの所得は元居住していた州に、ニューヨーク州に移ってからの所得は、ニューヨーク州のパート・イヤー居住者(半年未満の居住者、ただしケースにより異なる)としてニューヨーク州にタックスリターン(確定申告)を行います。
 その年の途中で日本へ帰国した場合、ケースにより異なりますが、米国内で得た所得か日本で得た所得、あるいはその両方を申告する必要があります。帰国が決まったら、忘れずに領事館に住所変更届を提出してください。


リタイアした人のタックスリターンの注意点は?

 リタイアして給与所得がなくなれば、所得税を支払わなくてもいいと思っている人が少なくありませんが、年金、株式の売買益や配当といったキャピタルゲインなどの収入は所得税の課税対象となるため、タックスリターンが必要です。特に、米国以外の政府から支給されている年金は申告する必要がないと思っている人が多いですが、米国居住者の場合は、海外で得た収入も申告する必要があります。また、海外の銀行口座に1年を通して、1度でも1万ドル以上の残高があった場合は、IRSへの報告が義務付けられています。

 米国居住者の海外口座に対するIRSの対応は、ここ数年で非常に厳しくなってきており、悪質なケースは厳しく追及されます。最悪の場合は多額のペナルティーを科されたり、犯罪として実刑を受ける可能性もあります。


非居住者でも米国にタックスリターンを行わなければならないのは、どのような場合ですか。

 非居住者の場合は、自国で税金を納めているので、米国に納税する必要はないと考えがちですが、米国内での不動産の売却益や株の配当、事業により得た利益などは米国で申告する義務があります。申告を忘れてしまい、後で発覚した場合には、帰国後にIRSから手紙が来て慌てることも珍しくありません。こうした事態を避けるため、帰国が決まったら米国内に所有する不動産を売却する人も多いようです。

 国連職員は米国内に居住していても、国際法によって、給与所得を米国に所得として申告する必要がないと規定されています。ただし、不動産や株などで得た利益は申告しなければなりません。


タックスリターンの書類は、何年間保管しておかなければなりませんか。

 確定申告書の作成に使用した書類は、州によっては、かなり前の年までさかのぼって調べられる場合があるので、できる限り保管することをお勧めします。ニューヨーク州の場合も同様です。

 過去の書類をさかのぼって調査される場合、所得税について調べられることや、自営業者はビジネスの内容についても調べられることがあります。しかし、調査の対象はほとんどの場合が所得税ではなく、株の売買で得た利益や配当、銀行利子などが対象です。申告忘れや申告漏れの情報はシステムを使って簡単に調べられるので、十分注意してください。また、確定申告書のコピーは一生保管してください。


IRSから通知が来た場合は?

 IRSから通知が来たら無視せず、必ず内容を確認してください。間違ってペナルティーが科されている場合もあるので、よく確認した上で必要であればIRSに電話をするか手紙で返事をしてください。IRSからの通知に対してどうしたらいいか分からない場合は、会計士に相談してください。

〈おことわり〉
 記事内容に関して当会計士事務所は一切の責任を負いかねます。詳細は各会計士にご相談ください。


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エドワード原公認会計士

ニューヨーク大学卒業後、ニューヨーク州公認会計士となる。1994年に、原公認会計事務所を引き継ぎ、個人・企業の会計・税務で35年以上の経験を持つ。米国公認会計士協会会員。

CPA Office of George Y. Hara, Inc.

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