2015/12/04発行 ジャピオン842号掲載記事

スペシャリストに聞く

基礎知識

今月のテーマ:離婚

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

米国で離婚手続きを行う際のプロセスや注意点について専門家に聞いた。離婚手続きをすぐに行わないと、手続きが行えなくなる場合もあるので注意が必要だ。


離婚の一般的な手続きについて教えてください。

 離婚書類(divorce package)を裁判所のウェブサイト(www.nycourt
s.gov/divorce/forms.shtml
)からダウンロードして、必要事項を記入します。

 当事者が、離婚することや、その条件に関しすべて同意している(uncontested divorce)場合は、書類に記入して、そのコピーを離婚する相手に送り、内容に対して同意を得られれば、書類を裁判所に送ります。裁判官が記載されている内容を承認すれば手続きが終了します。裁判所で争う必要がないため、時間も費用もかかりません。

 一方、相手の同意が得られない場合は、裁判で離婚を争うこと(contested divorce)になり、裁判所に赴き裁判を始めるための手続きを行います。


米国には、離婚後に再婚待機期間(waitingperiod)のような法的規定はありますか?

 離婚に関する法律は州によって異なりますが、ニューヨーク州法にはそのような規定はありません。ただし、離婚手続きでは多くの書類にサインして裁判所に提出しなければならないため、結婚の時よりも時間がかかります。

 先に解説した、双方が同意した離婚の場合は手続き自体はシンプルで、時間も費用もかかりません。しかし、その場合でも、多くの書類を提出する必要があります。また、裁判所から書類の内容に関して確認や質問が来た場合は、それに答えたり、裁判所に出向いて離婚したい理由を述べたりしなければならないため、一定の時間を見ておく必要があります。

 親権や財産などを巡る離婚訴訟に発展する離婚調停の場合は、時間も費用もかかります。


離婚する際には弁護士を雇わなければなりませんか?

 離婚に際して弁護士を雇わなければならないという規定はありません。雇った方がいいかどうかはケースバイケースです。訴訟にならない場合は、書類の記入だけで済みます。


離婚の書類に記入ミスをしてしまった場合は、どうなりますか?

 日付の間違いやスペルミスなどの単純な間違いの場合は、書類が送り返されて訂正するように求められる場合があります。

 書類にサインしたということは、その内容が真実であると誓ったということなので、書類の記載に重大なミスや虚偽があると、将来的に裁判所に呼び出される可能性があります。重大な虚偽とは、例えば、離婚後12カ月にわたって元の配偶者の健康保険を支払うという内容に同意し、サインしたにもかかわらず、3カ月しか支払わなかった、というような場合です。


他の州で結婚して現在ニューヨーク州に住んでいる夫婦が離婚する場合は、結婚した州で手続きを行わなければなりませんか?

 ニューヨーク州の場合、一般的にニューヨーク州に2年以上住んでいれば、離婚手続きを行うことが可能です。


結婚を続ける意思がないのに離婚手続きを行わないと、どのような問題が生じますか?

 例えばすでに別々に暮らしているにもかかわらず離婚手続きを行わないでいると、再婚などで離婚手続きを行う必要が出てきたとき、配偶者の所在が分からなくて手続きを行えなくなったり、配偶者の所在を探すために時間やお金をかけなければならなくなったりする可能性があります。

〈おことわり〉
 当弁護士事務所は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門の弁護士にご相談ください。


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スティーブン・W・エプステイン弁護士

ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロー・スクール卒。弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当した後、2004年独立し、Steven W. Epstein & Associatesを設立。ニューヨーク市行政裁判所の非常勤裁判官も勤める。

Steven W. Epstein & Associates

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