2015/08/14発行 ジャピオン826号掲載記事

スペシャリストに聞く

②日本の保険について

今月のテーマ:米国医療のしくみ

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

今回は、日本の国民健康保険や海外旅行者保険について聞きました。医療費がカバーされるための条件、カバーされる範囲、限度額などをよく知ることが大切です。

日本の国民健康保険は米国でも使うことができますか。

 日本の国民健康保険に加入し、短期間(1年未満)海外にいた方が米国で病気治療を受けた場合、日本の海外療養費の制度を通して一定額がカバーされます。ただし、治療費は米国内でかかった治療費ではなく、日本で同じような治療を受けた場合の治療費相当額がカバーされる点に、注意が必要です。

 例えば、急性盲腸炎を発病して救急車で病院に運ばれ、手術を受け、数日入院治療を受けて退院したとします。この場合、米国では治療費に200万円以上かかることがあります。ところが、日本では、盲腸の手術と数日の入院にかかる治療費は10万円程度ですので、国民健康保険でカバーされるのは10万円のみという
ことになり、残りは自己負担しなければなりません。

 米国では、医療費が日本と比べかなり高額であることを、念頭に置いておくことが大事です。国民健康保険に加入しているから安心ということにはならないことを、よく理解しておく必要があるでしょう。

海外旅行者保険の利点と注意点について教えてください。

 多くの方から聞く日系海外旅行者保険の利点は、次のようなものです。
・24時間体制で日本語での電話対応サービスがある。
・病院や医師の紹介や通訳サービスがある。
・医療費に関して病院への対応をしてくれるので、慣れない医療用語を使って英語でやりとりする必要がなく安心できる。

 以上のように、英語や医療用語に慣れていない場合に、安心して便利に使えるサービスが多いようです。

 一方、寄せられる相談が多いのは、持病を持っていて継続的に治療を受けなければならないが、海外旅行者保険ではカバーされない、事故を起こし長期に渡り治療をしていたが、限度額を超えたため治療が継続できなくなった、妊娠したが、妊娠・出産の費用がカバーされない、などのデメリットです。

 この他、健康診断や年1回の検診、病気予防などは海外旅行者保険の対象とはならないようですので、海外旅行者保険を購入する場合は、右記のことを含め、
保険でカバーされる範囲や治療費用など、よく確認されるとよいと思います。

オバマケアでは、医療保険未加入者に対する罰則がありますが、日本の国民健康保険、海外旅行者保険に加入している場合は、罰則の免除になりますか?

 オバマケアの導入により、医療保険に加入しない人(一部の例外を除く)は、確定申告の際に「Shared Responsibility Pay-
ment(SRP)」を納めなければならなくなりました。日本の国民健康保険や海外旅行者保険は、現時点では、米国医療保険制度改革法の基準を満たしているとはみなされないため、SRPを課される可能性があります。

 ただし、日本の健康保険組合、共済組合、全国健康保険協会の提供する保険は、米国の基準を満たしていると見なされるため、これらに加入している場合はSRPを課されることはありません。

 また、SRPを課金されることでビザや永住権に支障が出ますかというお問い合わせもありますが、そういったことはありません。

 罰金免除の対象者は次の通りです。
・保険未加入期間が1年を通じて、続けて3カ月未満の人(例えば4月、5月、6月と保険未加入であれば免除されません)
・一番安価な保険の保険料が世帯所得の8%以上になってしまう人
・所得が申告義務所得額を下回る人(例えば2014年での場合、65歳未満の独身者で収入が9750ドル未満)
・ネーティブ・アメリカン、またはインディアン・ヘルスサービス・プロバイダーによるサービスの受診資格がある人
・ヘルスケア・シェアリング・ミニストリーのメンバー
・認可された宗教によって保険加入が禁じられている人
・受刑者
・不法滞在者
・生活困難による免除を満たす者
・年間330日以上米国外に在住する米国市民、または租税条約を締結している国(例・日本)の米国税法上居住者で「Bona Fide Re-
sident Test 」を満たす人

 詳細はジャシーのウェブサイト(http://jassi.org)を参照のこと。

〈おことわり〉
当非営利団体は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

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中曜子

日米ソーシャルサービス(JASSI/Japanese American Social Services, Inc.)所属、ソーシャルワーカー。NY州認定保険申請カウンセラー(CAC)としてオバマケアの相談、申請手続きを、韓国コミュニティーサービス(KCS)と共に提供している。

JASSI(日米ソーシャルサービス)

TEL
347-482-1541
WEB
http://www.jassi.org

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