2015/08/07発行 ジャピオン825号掲載記事

スペシャリストに聞く

①基礎知識

今月のテーマ:米国医療のしくみ

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

日本とは大きく異なる米国の医療制度。初回の今回は、米国で医者にかかる際に知っておくべき一般常識や、基本的な医療用語について、ソーシャルワーカーの中曜子さんに聞いた。

まず日本と米国の医療保険制度の違いについて教えてください。

国民健康保険がある日本と違い、米国では民間の保険会社が医療保険を扱っているため、その中から、家族構成や予算などに応じて各個人で医療保険を選ぶことになります。日本では医療保険に歯科治療が含まれますが、米国では成人歯科治療の保険は大半別に加入しなくてはなりません。また、プランによって、下記のサービスがカバーされないことがあるので確認してください
・不妊治療
・大人の眼科検診、眼鏡とコンタクトレンズ
・大人の歯科治療
・手術
・はり治療

オバマケアについて教えてください。

包括的な医療改革制度(通称「オバマケア」)は、保険料の支払いが困難な低・中所得者に補助を行うことにより、より多くの国民が加入できることを目的としています。

 この制度により、これまでの保険未加入者も、低コストで医療保険に加入することができるようになりました。また、既往症の有無に関わらず、治療に専念することができます。州によっては、毎年、新たに加入しやすい制度が提供されますので、毎年保険の見直しをすることをお勧めします。

知っておくべき医療保険の関連用語は?

次のような言葉は基本的なものなので、よく理解しておきましょう。
・プレミアム(Premium)=保険の掛け金。ほとんどのプランで、毎月一定額を保険会社に支払うように定めている。保険を使用しなくても、保険を継続するために支払う
・コーペイ(Co-pay, Co-pay-
ment)=被保険者が実際に医療機関に対して支払う金額
・プライマリードクターPCP:Primary Doctor, Pri-
mary Care Physician)=主治医
・コーインシュランス(Coin-
surance)=保険適用の際の自己負担の割合。各プランやサービスの種類、医療機関によって一定に定められている
・ディダクタブル(deducti- ble)=保険適用前に被保険者が負担する金額。1回ごとの治療に対する自己負担額ではなく、通常1年ごとで、ディダクタブルの金額に達するまで自己負担額は全て加算される。

HMO、EPOおよびPPOとは?

次に各保険についてまとめました。
・HMO(HealthMainte- nanceOrganizations)=保険会社のネットワーク内から医師、病院や他の医療機関を選択しなければならない。ただし、救急治療は例外。主治医の選択を義務付けており、専門医にかかる場合は主治医の紹介状(リファーラル)が必要
・EPO (Exclusive Provi-der Organization)=HMOと同様にネットワーク内の医師、病院や他の医療機関を利用しなければならない。ただし、救急治療は例外。主治医の選択をする必要はなく、専門医にかかる際も主治医の紹介状を必要としない。自分で専門医や病院を選択するため、保険会社にその専門医や病院がネットワーク内にあるかどうか確認が必要。
・PPO(Preferred Provid- erOrganizations)=ネットワーク内の医師、病院や他の医療機関を利用する際に、より良いベネフィットを受けることができる。自己負担額はネットワーク内よりも高額になるが、主治医を選択する必要はなく、ネットワーク外の医療機関を選択することも可能。HMOと比較すると保険料が高めとなる。

〈おことわり〉
当非営利団体は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

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中曜子

日米ソーシャルサービス(JASSI/Japanese American Social Services, Inc.)所属、ソーシャルワーカー。NY州認定保険申請カウンセラー(CAC)としてオバマケアの相談、申請手続きを、韓国コミュニティーサービス(KCS)と共に提供している。

JASSI(日米ソーシャルサービス)

TEL
347-482-1541
WEB
http://www.jassi.org

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