2015/05/29発行 ジャピオン815号掲載記事

スペシャリストに聞く

⑤目的別購入の注意点

今月のテーマ:NYでの不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

「NYでの不動産購入」の最終回は、物件を投資目的と居住目的で購入する場合のそれぞれの注意点や、物件を売却する際に気を付けるべき点を聞きました。

投資対象としてのニューヨークの物件の選び方について教えてください。

投資目的を明確にし、その目的に沿った物件を選ぶことに尽きます。

 投資目的には、長期的な値上がり益、不労所得の獲得、資産の分散、節税効果など、さまざまなものがありますが、これらの優先順位と組み合わせによって、物件の種類や購入物件のエリアが大きく変わる、ということです。

 例えば、不労所得の獲得を優先した投資の場合、税金と管理費が非常に高額なマンハッタンのコンドミニアムでは、その目的は達成できません。逆に税金や管理費がいくら安いからといっても、貸し出した際の家賃が低い場所では十分なキャッシュフローが望めません。

 その意味では、まず物件選びの前に、投資不動産に精通した不動産エージェントに相談しながら、投資の目的とプランを作ることが重要と言えます。

マイホームとして購入する際の物件の選び方を教えてください。

投資物件としての購入との違いは、その物件に自分自身が住む、ということであり、マイホームとしての要件を満たしている必要があるわけです。

 これは当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、現実的にはなかなか難しい問題でもあります。というのも、獲得競争が激しく、価格も高額であるニューヨークの物件市場では、100%満足できる物件が見つからない場合も多く、その場合には何を諦め、何にこだわるかの取捨選択を迫られるからです。

 その際、「なぜマイホームを購入するのか?」という根本的な問いに対する答えを、自分自身がしっかりと認識しているかどうかが重要です。その認識が、迷ったときや取捨選択を迫られたときに立ち返るポイントでもあり、われわれ不動産エージェントが、お客さまとのミーティングの中で最も時間を割くポイントでもあります。

物件を購入するより賃貸のほうがいいのはどのような場合ですか。

潤沢な収入や資産があり、生活費に占める家賃の割合が極端に低い場合には、投資としての不動産購入はしても、マイホームとしての物件は購入せずに、好きな時に好きなところに住みたいという理由で賃貸を選ぶ人は多くいます。

 また、仕事などの都合で住む場所を定期的に変えざるを得ない方、米国に短期間しか滞在しない場合や急な帰国の可能性がある方は、投資目的でなければ購入するメリットは少ないので、賃貸の方が向いているといえます。

 逆に米国に長期間住む場合や不動産を使っての資産形成を考えている場合には、できるだけ早い段階で賃貸からマイホーム(購入)へ移行するのが得策と言えます。

物件を売却する際の注意点は?

現在のニューヨークは売り手市場であり、ご自身の所有する物件を売却するには非常にいいタイミングであるといえます。しかし物件を売却する前に考るべきことや注意点は数多くあります。

 売却する物件がマイホームか投資物件かに関わらず、売却のためのプランニングは購入時に比べはるかに複雑であり重要です。というのも、このプランニングを間違えると大きく損をする可能性があるためです。

 会計士、相続専門弁護士、「1031エクスチェンジ(投資物件の買い替えに関する制度)」の専門弁護士など、不動産エージェントを通して各分野の専門家の意見をしっかりと収集した上でプランニングを行うことが大切です。

 特に10年以上前に購入した不動産の場合には注意が必要ですので、できるだけ早い段階でご相談いただければと思います。

〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

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松本哲夫

ニューヨーク州公認不動産エージェント。市内大手のコーコラングループに勤務。マンハッタン・ブルックリン・クイーンズにて年間20件以上の不動産の売却と購入を手掛ける。自身も不動産投資・大家業を行うニューヨーク不動産のプロフェッショナル。二児の父で当地の学校事情にも明るい。

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