2015/05/15発行 ジャピオン813号掲載記事

スペシャリストに聞く

③購入までの流れ

今月のテーマ:NYでの不動産購入

文化、習慣、法律も違う海外で暮らす上で頼りになるのはスペシャリスト。日常生活を送る上で必要となる、また気になるテーマについて、さまざまなジャンルのスペシャリストたちに話を聞く。

今回は、物件購入を決めてからクロージングまでの一連の流れについて聞きました。競争が激しいニューヨークの物件市場では、成約直前で他のバイヤーに購入が決まってしまうこともあります。

物件の成約までの流れについて教えてください。

住居用の物件購入を考える場合、まず現在のマーケット環境を正しく理解した上で、実際に購入可能な物件価格の上限、つまり予算はいくらなのかを把握することが大切です。

 例えば頭金がいくら必要なのかは、物件の種類やマーケットの環境により変わりますし、コープかコンドか、1世帯住宅か2世帯住宅かなど、物件のタイプによっても購入可能な価格の上限は異なります。

 そのため、モーゲージ(住宅ローン)の借り入れも含め、不動産売買の経験が豊富な不動産エージェントに相談しながら、購入のための作戦を立てることが重要です。

 予算が確定したら、オープンハウスやプライベートショーイングなどにより、実際の物件を見てまわり、購入したい物件が見つかった段階でオファーを入れます。

 オファーが受諾されるとすぐに弁護士が必要となるため、弁護士はオファーを入れる前の段階で決めておく必要があります。弁護士選びもエージェント選びと同様にとても重要ですので、不動産の売買を専門としている不動産弁護士の利用をお勧めします。

 その後、一般的には約1週間のうちに契約書にサインを行うことになります。契約書にサインをする前に再度物件を見ることが可能ですので、この際に必要に応じホームインスペクションや、建築家や工事業者などを連れての物件の再確認を行います。

 契約内容に関しても、不動産エージェントと弁護士を通し、この間にセラー側との交渉を行います。その上で最終的に契約内容に合意できれば、バイヤーは契約書にサインをし、デポジット(通常は物件購入価格の10%)を支払います。

 その後セラーも契約書にサインを行い、双方がサインをした契約書がバイヤーの弁護士の手元に届いた段階で初めて成約となります。

成約後のプロセスについて教えてください。

無事に成約となった場合、その後のプロセスは物件の種類により異なります。コンドミニアムの場合にはビルディングアプリケーションの準備と提出を、またコープの場合にはボードアプリケーションの準備、提出に加え、ボードによる面接などが実施された上でボードからの購入許可がおりた段階でクロージングへと向かいます。

 またモーゲージを使用する場合にはその手続きも同時に進め、全ての準備が整った段階で再度物件の確認を行いクロージングとなります。もちろん実際のプロセスはかなり複雑ですので、不動産エージェントがクロージングまでの全過程をサポートします。

購入資金はどのくらい準備したらいいですか。

ニューヨークの不動産マーケットは競争が激しいため、のびしろのないぎりぎりの予算では、オファーを出すことはできても、実際の購入に結びつかないことが多くあります。

 例えば70万ドルのコンドユニットを購入したい場合でも、もし頭金に使う14万ドル(20%)しか資金がなかった場合、たとえ残りの額をモーゲージで支払えたとしても、残念ながらこの物件を購入することはできません。というのは物件の購入には購入物件への支払いの他にも、税金なども含めさまざまな費用がかかるからです(不動産購入時の不動産エージェント利用には費用は一切かかりません)。

 また実際にはこれに加え、物件価格が複数入札により上昇する可能性や、十分な頭金がないとオファーが受諾されない可能性なども考慮する必要がありますので、購入資金はできるだけ多く集め、購入物件の価格には十分な余裕を持たせ物件探しをすることが大切です。
 
〈おことわり〉
 当社は記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

8

松本哲夫

ニューヨーク州公認不動産エージェント。市内大手のコーコラングループに勤務。マンハッタン・ブルックリン・クイーンズにて年間20件以上の不動産の売却と購入を手掛ける。自身も不動産投資・大家業を行うニューヨーク不動産のプロフェッショナル。二児の父で当地の学校事情にも明るい。

Licensed Real Estate

TEL
914-374-7195
MAIL
ted.matsumoto@corcoran.com
WEB
http://www.nycfudosan.com

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画