2017/11/17発行 ジャピオン942号掲載記事

この街に住みたい

世界中から人が集まるニューヨークには長い発展の歴史と物語がある。ジャマイカといえば、アメリカ合衆国憲法の署名者の一人、ルーファス・キングが住居を構えた地でもある。

ジャマイカ❸

ルーファス・キング

 地下鉄E線ジャマイカセンター駅から北に1ブロック。ジャマイカアベニューと150〜153ストリートの一角に、ルーファス・キング公園がある。小さいが、管理もよく、付近住民の憩いの場だ。公園内にはキング邸博物館(KingManor Museum)が立つ。

 ここは、ルーファス・キング(1755〜1827年)がかつて住んだ場所だ。キングはマサチューセッツ州生まれの弁護士であり、政治家であり、外交官。アメリカ独立戦争(1775〜83年)では、熾烈を極めたロングアイランドの戦いに参加し、独立宣言後は、アメリカ建国の父アレクサンダー・ハミルトンと連携、合衆国憲法の最終草案を作成・署名した人物だ。

 憲法発行の1788年、ハミルトンの勧めでニューヨーク市に移住したキングは、翌1789年から1825年まで、ニューヨーク州下院議員、連邦上院議員を歴任している。ジャマイカのコミュニティーそのものというよりは、連邦レベルの政治家としてニューヨーク市に貢献した人物だ。

 ジャマイカに居を構えたのは1805年から。キングが50歳のとき、今のルーファス・キング公園がある一帯の農場地帯を購入した。

キング邸博物館

 現在キング邸博物館として残る建物のオリジナルは、1750年代築。キングが購入した時は、すでに築後50年を超える古いファームハウスだった。入居後は、アメリカの大物政治家らを招いて晩餐会が開けるようにと、部屋を増築していった。かつてここジャマイカは、アメリカ建国の父らが集まる場所だったのだ。

 キングがここに住んだのは1825年まで。その年病に倒れると、2年後に亡くなるまで、息子が住むマンハッタンで暮らした。が、没後は再びわが家があるジャマイカに戻ってきている。公園のすぐ隣にあるグレース教会墓地(現在のパーソンズ・ブルバードとジャマイカ・アベニュー)に、妻と一緒に埋葬されている。

 同年、農場とファームハウスの所有権は、キングの長男ジョン・キングに移る。最後にここに住んだのは、ジョンの娘コーネリア・キングだ。1896年そのコーネリアも亡くなると、土地と建物は当時の村としてのジャマイカに売却される。その2年後の1898年、クイーンズが正式にニューヨーク市の一部になると、土地と建物の権利は市の公園課に譲渡された。ルーファス・キング公園として区画し、ファームハウスの復旧作業を行ったのはニューヨーク市だ。1974年、全米歴史建造物(ナショナル・ヒストリック・ランドマーク)に指定されている。

 博物館内には、キング一家が生活したころに使っていた家具、書物、絵画が保存されている。18世紀のアメリカがここにある。(佐々木香奈)

ルーファス・キング公園内にあるキング邸博物館(King Manor Museum)。看板の後方に見えるのが博物館
ルーファス・キング夫妻が永眠するグレース教会墓地。公園のすぐ隣、ジャマイカアベニュー沿いにある

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