2016/08/12発行 ジャピオン877号掲載記事

この街に住みたい

キューガーデンズ❹

 キューガーデンズの生みの親、アルフレッド・マンという弁護士/土地開発者は、1868年にそもそも誰から土地を購入したのか。

 著書「イメージズ・オブ・アメリカ~キューガーデンズ」(アーケーディア出版)によると、キューガーデンズとフォレストヒルズ一帯は、クイーンズ区で最も古い土地証書(英語でいうDEED)が発行された場所で、1753年3月22日までさかのぼる。この地の最初の所有者名は、デービッド・スプリングスティーンと記録されている。

 その後おそらくは土地も分割され、何度も売買が繰り返され、マンが購入した際の所有者はレファーツという、一帯の農場主一家だった。マンは約200エーカー(約810平方キロメートル)の土地を、5万9944ドル80セントで購入したという。

 「ハート・オブ・キューガーデンズ」と呼ばれる、現在の街の中心地は、キューガーデンズロードからメトロポリタンアベニューまでのレファーツブルバード沿いを言う。通りの名前はこの農場主の名前を冠したもの。当初はレファーツアベニューと呼ばれていた。

最古の「ホームステッド」

 そのレファーツブルバード沿いに残るこの街最古の商業ビルが、カスバート・ロードの角にあるホームステッドビル(1912年築)だ。今は残念ながら建物の半分は取り壊され、チェイス銀行などが入る現代建築。カスバート沿いの一角だけが、今も「ホームステッド」という名もそのままに、東ヨーロッパ系のグルメデリが営業している。この地の歴史を守ろうと、孤軍奮闘しているかのようだ。

 この街最古のアパートビルはというと、1915年築の「KewBolmer」(80-45 Kew Gardens Rd.)。今の地下鉄駅から1ブロックの場所にある。

 時を同じくして開発が進んでいた隣接する姉妹町フォレストヒルズ・ガーデンズ同様、過剰開発を避けるため、一戸建てのみのエリアも設けられた。その後、1910~20年代が最初の建築ラッシュとなる。

KGカントリークラブ

 レファーツブルバードとオースティンストリートの角にある小さな映画館キューガーデンズシネマ。1930年代築で、すでに古色蒼然。その前身はキューガーデンズ・カントリークラブという、由緒正しき地域の社交場だった。もはや知る人も少ない。1917年築の三角屋根のテューダー建築だったが、わずか20年ほどで取り壊されたことになる。

 当時は、テニスやビリヤードなどのスポーツの会員制社交場として栄えたという。せめてオリジナル建築を残して映画館にできなかったものかと悔やまれる。(佐々木香奈)

①メープルグローブ墓地②クイーンズブルバード③キューガーデンズロード④レファーツブルバード
現在のホームステッドビル。すでに半分は取り壊され、Cuthbert Rd.沿いだけに「Homestead」デリが残る
1930年代築のキューガーデンズシネマ。前身は由緒正しきカントリークラブ

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