2015/09/11発行 ジャピオン830号掲載記事


学校選び

子供がいる家族にとって、学校選びは悩み所。学校を選ぶ際に考えるべきことを海外生活応援団「NY La Vie 」学校セミナーの講師、河原その子さんに聞いた。


米国での学齢は?

 教育制度、学齢は各州で異なりますが、ニューヨーク州は、1月1日から12月31日までに5歳の誕生日を迎える子供がその年の9月にキンダーガーデンに、6歳の誕生日を迎える子供が小学生になります。学年が切り替わる最後の日をカットオフデーと言います。

 私立校ではカットオフデーは各学校で異なり、ニューヨーク州では8月31日に設定する学校が多く、また6~8月生まれの子供は入学を1年延期することが認められています。公立校では延期は認められていません。ただし公立校では例外として、海外から学年中途で転入する場合など、語学力不足を理由に1学年下に転入することは許されます。

米国の学年制度は?

 小学校から高校卒業までの12年間を1年生から12年生と通算して呼びます。1から5年生が小学校、6から8年生が中学校、9から12年生が高校という、5―3―4年制が一般的。またキンダーガーデンは小学校の準備期間とし、公立校入学は5歳ととらえるのが一般的です。

学齢に達する前に親が知っておくべきことは?

 公立、私立共に学校が提供するプログラムは多種多様であること、また入学の仕組みを理解しておく必要があります。

 ニューヨーク市郊外、近隣の州の場合、スクールディストリクト(学校区)に分けられ、公立校は居住地域の学校区内の学校へ自動的に入学することになります。学校区内の複数の小学校が、最終的に一つの高校に統合されるのが一般的です。

 市内5区では、学校区の学校に優先的に入学できますが、人気のある学校区は定員オーバーということもあります。その場合、別地区の学校を指定されます。また、学校区と関係なく応募できる学校、プログラムも多くあります。

学校の種類は?

 各地区教育局管轄の公立校、チャータースクール、私立校に分けられます。公立校は無料で、各行政の定めたカリキュラムに沿って授業が行われます。

 チャータースクールは独自の教育理念を作り、教育局の許可を得て設立され、民間資金と公的資金で運営されます。授業料は無料ですが、独自のカリキュラムで授業を行います。学校には多様なプログラムがありますが、以下代表的なもの選びました。

 公立のギフテッド&タレンテッドプログラムはアカデミックな能力の高い生徒を集めるものです。キンダーガーデン入学前に試験を受け、一定の得点を得た生徒だけが申し込めます。

 デュアルランゲージプログラム(二カ国語同時教育)は、授業を二カ国語同時に行い両言語の習得と目指します。芸術に特化した公立校では各校で独自の入学審査があります。また発達障害児のための教育体制が進んでおり、専門プログラムを持つ学校も多くあります。

入学の申請方法は?

 ギフテッドの応募は入学前年10月開始、翌年1、2月に試験となります。ほかは入学年の1月に希望校12校までを選び一括で申請します。直接申請により申し込みをする学校もあります。

 中学校進学は5年生の12月までに複数の志望校を決め、専用の願書に優先順位をつけて一括で申請します。入試、面接、作品提出、オーディション、書類選考、抽選など、各学校の選抜方法で選考されます。

 私立は各校の募集要項に沿って申し込み、受験します。

日本人が特に気を付けた方がいいことはありますか?

 公立学校進学に際して、役所からの知らせなどはありません。全て自分たちで情報を手に入れる姿勢が大事です。各機関のHP、民間の情報サイト、井戸端会議などは重要な情報源となります。

 教育局の方針、学区境界線、申請方法なども、頻繁に変更するので必ず最新情報を確認することが大切です。公立校カリキュラムでも、教えるアプローチが伝統的(トラディッショナル)か、革新的(プログレッシブ)かで大きく異なります。子供の特性に合った学校を選ぶ視点を持つようにしましょう。

お話を聞いた人

河原その子さん
海外生活応援団 NY La Vie
www.nylavie.com
nylavie@nylavie.com



帰国を予定している場合に考えること

 駐在員など任期が決まっている場合、子供の進学はさらに重大な関心事。米日教育交流協議会代表の丹羽筆人(にわ・ふでひと)さんに、考えておくべきことについて聞いた。

 小中学生で帰国する場合の進学先は、公立校、国立校、私立校、インターナショナルスクール、アメリカンスクールなどがあります。公立校は住所地に該当する学校に無条件で入学でき、学費も不要ですが、特別なサポートは期待できません。

 多くが中高一貫教育を行なっている私立校、国立校や私立中等教育学校は、ほとんどで入学試験が課され、学費もかかりますが、帰国生に対する特別なサポートが期待できる学校もあります。インターナショナルスクールやアメリカンスクールでは各校で独自に入学資格を定めていますので確認してください。

 帰国の予定がある場合は、日本語での学習は来米直後から実施するべきです。まず、通学圏内に補習校があれば、通学することをお勧めします。補習校は日本の教科書を使用して学習し、日本の学校に準ずる学校行事も行っているので、帰国後に日本の学校に円滑に順応できます。ただし、難関中学校の受験を行う場合には、教科書の学習のみでは対応できないので、小学4年生以降に学習塾に通うことも検討するとよいでしょう。

 帰国生を積極的に受け入れている学校は学校見学、入学説明会などを実施しています。ここでは、担当者から学校の様子、入学後のサポートについて、また入試要項には記載されていない試験の出題傾向や出題範囲なども直接確認できます。事前に、保護者や子供の疑問点をまとめておくことをお勧めします。

 海外生活が長ければ長いほど、帰国後日本の学校に順応するのが難しくなる傾向があります。お子さんの学校での様子を、お子さんや学校の先生を通じて聞き取ることをお勧めします。日本で生まれ育った子供にはない言動による違和感がもとで、トラブルが発生することもあります。公共交通機関での長時間の通学が負担になるケースもありますので、学校選びの際に気を付けるとよいでしょう。

米日教育交流協議会(UJEEC)
www.ujeec.org

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