

ニューヨーク州弁護士。移民法、会社法、芸術家に関する法律を専門とする。日本女子大学卒業。コロンビア大学大学院教育人類学修士号取得。シラキュース大学ロースクールJD(法律博士号)取得。ニューヨークの法律事務所に勤務後、2003年3月に「加藤恵子法律事務所」開設。
最終回は、不当解雇で訴訟になった事例と、不当解雇をめぐる雇用者と被雇用者の対応について伺います。
最近の不当解雇の訴えには、どのような事例がありますか。
日系企業ではあまり見られませんが、雇用主が労働法に違反して社員を解雇してしまう場合があります。特に、労働組合が会社と交渉して労働協約を決めることをcollective bargainingと言いますが、会社がこれに違反して社員を解雇するケースもあります。
1998年にニュージャージー州に住むニューヨークタイムズ社の社員26人が、「会社の性差別はニュージャージー州の公民権法と、雇用差別を禁じている連邦法に違反している」と労働組合に訴えたところ、同社がそれらの社員を解雇したため、不当解雇で訴えられるというケースがありました。このケースでは、第一審では原告側が敗訴しましたが、第二審(控訴審)では、一部原告側の主張が認められ、現在まで裁判は続いています。
日系企業が不当解雇で訴えられたケースはありますか。
ここ2、3年だけでも、日系企業が元社員に不当解雇で訴えられたケースがいくつかあります。しかし、訴訟は企業にとって非常に大きなダメージになるため、日系企業の場合は、訴訟を起こされると和解に至るケースが多いようです。
不当解雇で訴えられないために、会社が行うべきことは何ですか。
社員マニュアルを作成し、社員として守るべきルールを明記し、定期的に勤務状況を評価することが重要です。勤務評価は恣意的なものであってはいけませんし、勤務評価をきちんと行っていないのに、いきなり勤務状況が悪いことを理由に解雇することはできません。
定期的に勤務状況を評価し、更に、その評価が一方的なものにならないよう、上司だけでなく本人からも自己評価や来年の抱負、会社に対する意見などを聞くようにするといいでしょう。
不当解雇された場合は、どうすればいいですか。
労働組合に所属している人は、同組合に相談にのってもらうことができます。各州の労働局のウェブサイトに詳細な情報が出ているので、自分が置かれた労働環境や賃金が労働法に違反していないかどうか、調べることができます。不当解雇で訴えたくても訴訟を起こす費用がない場合は、各州ごとに設けられているリーガル・エイド(www.legal-aid.org)が、無料か低料金で法律相談にのってくれます。
〈おことわり〉
当弁護士事務所は、記事内容に関して一切の責任を負いかねます。詳細は各専門弁護士にご相談ください。
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