

NY州認定弁護士。幼少時から20年以上にわたり神戸に住む。オーストラリア、マクエアリ大学法科大学院卒。日米両国の大学で法科の専任講師を勤めた経験もある。主に、家族法、移民法、傷害、軽犯罪を専門とし、法廷経験豊富。2002年、妻のスザンヌ・ウエイン弁護士と法律事務所を設立。
医療過誤のケースでは多くの場合、裁判が始まる前に和解が成立します。
生後18カ月の赤ちゃんの手の手術で、16万2500ドルで和解が成立したケースについて、お話しください。
10歳になる少女(原告)が、指の裂傷の処置が十分ではなかったとして、病院側を相手取って訴訟を起こしました。
この少女は生後15カ月の時、左手の指の腱をひどく傷めたのですが、18カ月の時点でもまだ裂傷はそのままでした。病院に行くと、指の部分的な裂傷は左の腱にまで達していると診断されました。この時は、指を曲げることができました。指を3カ所縫われて帰宅しましたが、7日後に抜糸すると、指は動かなくなっていました。病院の記録には、患者の指はかたく握られていたと書かれています。
原告は訴訟時に、当時の病院の記録は、医師(被告)の処置が適切でなかったために、部分的な裂傷が広がってしまったことを示しており、医師は他の処置や、手の手術の専門家に紹介すべきだったのにそれを怠ったと主張しました。
また、抜糸から2カ月後、原告がこれとは別の件で同じ医師の元に行くと、原告の指にはまだ問題が残っていることが病院の記録にあり、その翌月にハンドクリニックに予約が入れてありました。しかし、すでに裂傷は開きすぎていて治療するには遅すぎると、原告の母親は医師に抗議しています。その後、原告の母親がセカンドオピニオンを求めて、娘を複数の医師に診せた結果、手術は4歳になるまで延期することになりました。
その後、10歳で訴えてから最終的に和解が成立した時、原告は既に12歳。2回の手術を経て、ほとんどの指が使えるようになっていました。
医療過誤では、常に医療関係者の不注意や怠慢が争点になるのですか。
このケースのような訴訟の背景にあるのは、常に不注意や怠慢です。不注意ではなく、故意の不法行為である場合は医療過誤のカテゴリーではありません。
担当した医師が未熟であったり、技術が十分になかったということで、訴訟になることはありますか。
それは非常にまれです。もちろん医師によって経験に違いはありますが、資格のある医師が手術を行うことになっているので、経験が少なかったという理由で訴えられたケースは、私自身は知りません。なお、研修医や看護士がミスを犯した場合は、監督責任のある医師が訴えられます。
(おことわり)
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