

中央大学法学部卒、国際基督教大学修士号取得、オハイオ州立大大学院博士課程中退。デロイト・トゥシュ会計事務所を経て独立、スモールビジネスや個人の確定申告のサービスを提供。「シリーズ7」の資格を得て、ファイナンシャル・アドバイザーとして節税対策や退職後対策、投資などへのアドバイスも提供。
米国に長期間住んだのち日本に帰国することになった場合、税金の面ではどのような点に注意が必要でしょうか。
永住権を放棄して帰国します。税金や銀行口座や積立口座はどうすればいいでしょうか。
帰国と同時に永住権も放棄すると、税法上、米国非居住者になり、「日米租税条約」のベネフィットを受ける資格を得ます。貯めていたIRAや個人年金の口座は、永住権放棄後も解約せずに、そのまま持っていてもかまいません。米国居住者の場合は、IRAや個人年金を積み立てていた米国の金融機関の口座からお金を引き出すと所得と見なされ、米国で課税の対象となります。更に、59・5歳未満に引き出すと、その額の10%のペナルティーも科されます。しかし、永住権を放棄すれば、米国の口座から引き出した所得に対して、(米国に)納税の必要はなくなり、預金の受け取り利子も米国税法上非課税扱いとなります。「日米租税条約」により、米国の非居住者が米国の金融機関から引き出した所得は、日本で課税されることになります。
以上の条約上の恩典を受ける資格を得てから実際に活用するには、永住権を放棄して帰国する際、または帰国して放棄した後に、口座がある米国の各金融機関にW8BENというフォームを提出しなければなりません。
一方、永住権を放棄しない場合は世界中どこに住んでいても米国居住者となり、米国源泉収入と(海外で得た収入がある場合は)外国源泉収入の両方に対して、米国で課税されます。
「日米年金協定」について教えてください。
2005年10月にこの協定が施行されたことにより、日米のそれぞれで年金の掛け金を支払っていた年数が合計で25年以上になれば、日本の年金の受給資格を得られることになりました。例えば、日本で10年、米国で20年掛け金を支払ってきた場合、通算30年掛け金を払っているので、日本からは10年分、米国からは20年分の公的年金を受けられるようになります。この結果、10年間の日本の年金への支払分が掛捨てでなくなります。05年以前に支払っていた分も対象になります。
なお、米国のソーシャルセキュリティーについては、本人の配偶者は、本人の半額か自分の支給額のどちらか多い方(駐在員の妻も夫の半額)を受給できます。夫が先に亡くなった場合は、遺族年金かソーシャルセキュリティーのどちらか、受給額の多い方を選べます。帰国後、米国の公的年金を受け取る場合は、必要書類と共に米社会保険庁(SSA)から毎年送られてくるステートメントを、社会保険庁に提出すると良いでしょう。
(おことわり)
記事内容に関しては、一切の責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。
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