

NY州認定弁護士。フォックス・ロスチャイルド法律事務所国際部主任。過去25年に渡り、複雑な資産相続や国際的事情に直面する顧客を中心に、私設基金設立なども含め、アドバイスをしている。85年「Estate Plann- ing」(New York Institute of Finance)を出版。05年長野スペシャル五輪諮問委員会会員。
今月のトピックは遺言。今週は、第三者に意思決定の権限を委ねる、委任状、医療委任状についてです。
委任状と遺言の違いについて、教えてください。
死亡や離婚などを想定し、遺産分配をはじめ、財政処理に関する計画をあらかじめ立てることを、米国ではエステートプラニングと呼んでおり、エステートプラニングにおいては、遺言(Will)と併せ、委任状(Power of Attorney)、医療委任状(Health Care Pro- xy)、リビング・ウィル(Living Will)の作成が一般的です。
本人の死後初めて法的な効力が発生する遺言と異なり、委任状、医療委任状は、本人の生前にのみ法的効力があります。いずれも、本人が何らかの理由で意思表示ができなくなった場合、本人に代わって意志決定を下す人物を、あらかじめ指定するものです。委任状は本人の権限を第三者が行使するものですから、本人が死亡した時点で、第三者の代理行使権は消失します。
委任状、医療委任状に含まれる項目は?
委任状は財政処理に関わる書類で、医療委任状は、身体の事項に関わる書類です。
委任状には、金融取引、財産の売買・譲渡、税金申告など、財産に関わる行為全般が含まれ、作成者は、自分の財政に関して、権限を委ねる代理人を指名します。金融機関などは、詐欺の可能性を恐れますので、法的な文書がない限り、第三者による本人の情報の入手や、口座へのアクセスはできない場合がほとんどです。委任状が必要となるのは、本人が昏睡状態に陥った場合、病気やケガが原因の身体・知能障害などでしょう。委任状がないまま長期の判断不能状態となった場合、代理人になることを希望する人は、裁判所に申請し、後見人として指名してもらう必要があるため、その分、時間も費用もかかります。
医療委任状は、事故や病気などで、自分の意思を表明できない場合、自分に代わって医療に関する決定を下す権限を代理人に与えるものです。本人の主治医を含め、医療機関の関係者と話し合う、医療行為の合意書に署名するなど、身体に関わること全般においての権限を代理人に与えることになります。医療委任状に関しては、法律により、患者以外の人間(家族も含む)に対して、公開できる情報の範囲がごく限られていますので、それに対応した委任状が必要です。
また、いわゆる持続的な植物状態に陥った場合に、生命維持に関するものを含め意思表示をする書類が、リビング・ウィルです。
(おことわり)
記事はあくまでも概要の説明であり、特定の案件について法律的助言を与えるものではありません。個々の案件についての詳細は、必ず法律専門家の助言を受けて下さい。
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