

移民法、不動産法、家庭法、刑法(飲酒運転、軽罪、重罪)、ビジネス法(会社設立)などを専門とする。関西外国語大学に2年間留学。流暢な日本語を話し、気さくな人柄でクライアントからの信頼も厚い。現役認定消防士・救急救命士のボランティアで、9・11では救出・捜索活動に当たった。
今月のテーマは人身事故です。家の前で、人が転んでけがをしたら、家主の責任が問われるそうです。
店や家の前の雪道で転んでけがをした人が、店のオーナーや家主を訴えたという話を聞くことがあります。店の経営者や家主の自衛策を教えてください。
雪道で転んでけがをしたという訴訟は、実際かなり多いです。ニューヨーク市では雪が降ったら、ニューヨーク州の裁判所で決められている「妥当な基準/Reasonable Standard」に基づき、天気や雪の状態を個人が判断して、雪かきをしなければなりません。これを守らないと警察にチケットを切られることもあります。ルールを守らなかったために、誰かが自分の店や家の前で転んでけがをしたら、その道の雪かきをすべきだった人の責任になり、訴訟になった場合、非常に不利です。
逆に、責任者がルールを守って雪かきをしていたにもかかわらず、けが人が出てしまった場合は、責任が軽くてすみ、けがをした人にとっては、訴訟を起こしてもあまりメリットがないということになります。
店のオーナーや家主の自衛策としては、きちんと雪かきを行うことと、保険をかけておくことです。また、家を空ける場合は、誰かに留守中の雪かきを頼んでいった方がいいでしょう。
運悪く被害者になってしまい、責任者に医療費や賠償金の支払いを求めたい場合は、弁護士に相談してください。また、けがをしたり、少しでも痛みを感じたら、すぐに病院で問題がないか診てもらいましょう。時間が経つと痛みの原因が特定できなくなり、訴訟の際にも不利です。
公道で転んでけがをしたような場合は、誰に治療費や賠償金の支払いを求めたらいいのでしょうか。
ニューヨーク市の場合は、道路の亀裂などの危険な箇所がないかどうか調べる専門家がいて、定期的に調査を行っています。もちろん、道路のメンテナンスが不十分だったり、道路の亀裂が長期間放置されていたためにけがをした場合は、道路の管理責任があるニューヨーク市を相手に訴訟を起こせます。その場合は、特別な手続きが必要になるので、弁護士に相談することをおすすめします。
訴訟を起こす場合は、事故から3カ月以内にNotice of Claimをニューヨーク市へ提出し、事故から2年半以内に行うのが一般的です。事故があってから時間が経過すればするほど、証拠を集めるのが難しくなるので、早く手続きをした方がいいでしょう。
(おことわり)
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