

NY州認定弁護士。幼少時から20年以上に渡り神戸に住む。オーストラリア、マクエアリ大学法科大学院卒。日米両国の大学で法科の専任講師を勤めた経験もある。主に、家族法、移民法、傷害、軽犯罪を専門とし、法廷経験豊富。2002年、妻のスザンヌ・ウエイン弁護士と法律事務所を設立。
今週は、DV(家庭内暴力)被害を受けている人が、警察に被害届を出した後のことを中心に、お話を聞きました。
DV被害者は、警察が関わることで、加害者が職を失ったりするのを恐れ、被害届の提出を躊躇することが多いと聞きます。
被害届を警察に出しても、特に外傷がない場合は、加害者の逮捕にはつながりません。したがって、被害届が提出されたことも、加害者は知らないままということになります。しかし、あざや切り傷などの外傷が認められ、それがDVによるものだと訴えた場合は、加害者は逮捕されます。
多くのDV被害者が届けを躊躇するのは、逮捕が原因で加害者が職を失い、収入が無くなる、または、何らかの理由で釈放された加害者と、再び生活をともにしなければならないことを恐れているからが多いと思いますが、この心配はほとんどありません。加害者が逮捕された場合、とくに軽犯罪や初犯なら、保釈金を払うことにより数時間のうちに日常生活に戻り、その後は出廷日を待ちながら、いつも通り出勤することもできるからです。また、被害者は逮捕時、警察に「接近禁止命令(Order of Protection=
O/P)」の申請手続きをするよう意思表示することにより、釈放後の加害者による報復などの心配を取り除くことができます。
通常、加害者には保釈時に、被害者への接近禁止が言い渡され、その内容は、主に被害者の住居、学校、職場などの生活範囲への侵入禁止、電話や郵便などでの接触の禁止などが含まれています。こういった刑が確定する前の段階でのO/Pは、加害者の出廷日までの一時的なもので、初回出廷日に期限切れとなり、その後、裁判所が必要と判断すれば、次回の出廷日まで延長されます。
外傷がない場合は、被害者にはどういった選択肢がありますか?
目立った外傷がなくても、精神的虐待や、過去に負わされた身体的被害を理由に、家庭裁判所を通じて、O/Pの申請を行うことができます。とくに、被害者が加害者の逮捕を望まない場合は、家庭裁判所に申し立てをすることで、身辺の安全や養育費を確保することができるでしょう。
O/Pの申請方法、申請場所(管轄の法廷)や、DV被害者の自立を支援する非営利団体、加害者が逮捕された場合の、裁判までのケースステータスなどの情報は、http://www.womenslaw.org/NY/NY_main.htmで、検索することができます。
(おことわり)
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