

ニューヨーク州、ニュージャージー州及び米国最高裁の顧問弁護士。アメリカ移民法弁護士協会、ニューヨーク市法曹協会、ほかの会員。専門は移民法、離婚、会社法、興行、不動産等。ボストン大学法学部卒。同大学院にて法律とビジネス管理の両分野にて、Juris DoctorとMBA資格を修得。
離婚に際して最大の争点となるのが財産と親権。今回は、その基本的な考え方について伺いました。
財産を分ける際の基本的な考え方は?
米国では、婚姻中に取得した財産は夫婦共通の財産、結婚前にすでに取得していた財産は個人の財産と見なす、というのが基本的な考え方です。しかし、現実には、それほどすっきりと解決する事例は稀で、特に、一方に大きな資産がある場合は非常に複雑です。
たとえば、結婚前に妻が家を購入していた場合。現金で購入、または結婚前にローンを払い終えていれば、基本的には、結婚後も引き続き妻の財産と見なされるでしょう。しかし、「結婚後もそのローンを払い続けるとしたら?」「現金が必要になって、妻の家は売らずに夫の財産の一部を処分したら?」など、婚姻期間が長くなるほどさまざまな要素が絡んできます。このような場合には、結婚前に妻が取得したものだから妻の財産、ということにはならないかもしれません。年月がたつうちに、それぞれの財産は徐々に共通の財産になっていき、はっきりと区別できなくなるのがふつうです。
婚姻中に築いた財産は、基本的には夫婦のものと見なされます。夫が自営業者で妻は仕事を持っていなくても、妻が夫の仕事にどのくらい貢献したかが考慮されます。また、たとえ夫のビジネスに全く関与していなくても、離婚の際に、妻は二人で築いた財産としてビジネスの一部を請求できます。逆に、配偶者が借金を作った場合は、それに対して義務が生じます。
日本の「名義」に近い概念は米国にもありますが、日本ほど重要ではありません。米国では、名義よりもその財産を誰がいつ取得したのか、財産取得の時期と婚姻の時期との関連を重視します。
離婚の際の子供に対する権利について、裁判所の判断基準は?
裁判所は、親たちの希望にはほとんど配慮しないと考えていいでしょう。裁判所が考えるのは、子供たちにとってどうすることがベストか、という一点につきます。落ち着いて生活できることが重要なので、子供たちはどちらかの親と生活して、週末や長期休暇、または週に数日をもう一方の親と過ごすという結論になるのが一般的です。一方の親に犯罪歴があるような例外をのぞいては、裁判所は両親の権利を平等になるように調整しようとします。
子供のこととなると、感情的になるのはやむを得ないことですが、だからと言って、子供の権利を独り占めしようとしたり、そのために相手を非難、中傷するような態度は慎むべきです。前向きに話し合いに臨む姿勢が大切です。
(おことわり)
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