

米国司法省公認移民法弁護士。米国移民法弁護士協会(AILA)会員。全米50州で移民法関連訴訟を取り扱う。ニューヨーク州ベッドフォードヒルズ更生施設で、ボランティアとして定期的に公聴会に出席する。2005年にオルソン&石塚法律事務所を設立。石塚弁護士はニューヨーク州・ニュージャージー州認定弁護士として移民法ケースを手掛ける。
キャリアアップにはかかせない転職。H-1Bステータスで就労している場合、離職・再就職の際に必要な手続きはあるのでしょうか?よく見られるケースとともに、解説していただきました。
H-1Bビザ保持者が転職する際に注意することは?
H-1Bビザ保持者が、ビザの有効期限が切れる前に離職した場合、次の雇用主が決まるまでの明確な猶予期間は、法律上与えられていません。解雇された日から直ちにステータス違反が始まると解釈されているため、離職後、日が経ってからの雇用主変更申請の延長が必ず認可されるという保証はありません。また、H-1Bビザ保持者の就労は、移民局から認可されたスポンサー企業の業務に限られています。従って、雇用先を変更する場合、新しい雇用主は雇用先変更とH-1B延長の2つの申請を同時に行うことになります。ただし、下記の3つの条件を満たす場合に限り、ビザの延長・雇用主変更申請が認可されるのを待たずに、移民局が申請書を受理した日から新しい雇用先で就労を開始することが可能です。
①H-1Bビザ保持者は、合法的に米国に入国し、証拠書類(I-94)を提出できる。
②新しい雇用主は、H-1Bビザ保持者のI-94カードに記載されている有効滞在期限が切れる前に、H-1B延長・雇用主変更申請をした。
③H-1B延長・雇用主変更申請以前に、H-1Bビザ保持者が不法就労をしていない。
私(A)はマーケティング会社(B社)で、H-1Bビザ保持者として勤務していたのですが、B社を今年1月末で退職しました。すぐに別の会社(C社)に採用が決まり、3月1日から勤務を開始する予定です。C社での私の業務内容も肩書きもB社と同じです。このまま滞在しC社で働くことは出来ますか?
勤務先が変わる場合、新たな雇用主を通して就労許可を移民局からもらう必要があります。また、パスポートにあるビザスタンプの期限が有効であったとしても、そのビザを使って別の雇用者の下で就労することは出来ません。ただし、B社を退職する前にH-1Bビザの雇用主変更申請をし、移民局により申請受理が確認されれば、許可が下りていない段階でも、別の会社で就労することができます。しかしAさんの場合、退職前に雇用主変更の申請をしていませんから、たとえ移民局の申請受領が確認されても、このまま米国内に滞在しC社で勤務することは出来ません。パスポート上のH-1Bビザの有効期限が切れていなくても、B社を退職した時点で持っているビザ資格は無効になり、厳密に言えば、不法滞在をしていることになります。
雇用主はH-1Bビザをスポンサーしている社員が離職した場合、その旨移民局に通知する義務が課せられています。よって、B社がすでにAさんの離職を移民局へ知らせている可能性が考えられます。さらに、転職でH-1Bの更新申請を米国内に留まりながら行う場合、申請時点までスポンサー企業に就労していたという証拠を提出することが要求されます。通常、その証明として、スポンサー企業からの給与支払い明細を提出しますが、Aさんのケースでは、B社をすでに辞めているため、申請時の給与明細の提出が難しく、このためビザ申請が却下される可能性が大きいと言えます。そのリスクを避けるためには、Aさんはいったん出国し、新規ビザを申請して、許可が下りるまで日本で待つことが最善の方法でしょう。
(おことわり)
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