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11月のトピック ◆
精神科の疾患

うつ病と薬物治療
心と体のメンテナンス
文鐘玉先生

文鐘玉先生

ベス・イスラエル医療センター精神科研修医(一般精神科)。慶應大学卒業後、慶應大学病院精神神経科、川崎市立川崎病院精神科勤務を経て、2006年から現職。日本精神保健指定医。

うつ病の主な症状は何ですか?

気分の落ち込み、気力低下、快楽消失、集中力低下、自責の念、不眠(または過眠)、食欲低下(または過食)や体重減少、精神運動制止・興奮(行動が鈍い・焦燥)などが挙げられます。軽度なものは誰でも経験する類のものですが、一定期間以上続き、会社に行けない、食事ができないなど、日常生活に支障をきたすようになると、うつ病と診断されます。自殺念慮を呈する場合は、特に注意が必要です。子どもでは、イライラや不機嫌など非典型的な症状を呈することが多いです。

米国人の15〜20%は、一生に一度はうつ病になると言われます。無治療でも数カ月程度で治る場合もありますが、重症化すると無言無動状態や、深刻な自殺企図に至ることもあります。

原因は? 性格も関係ありますか?

精神疾患は基本的に、生物学的・心理的・遺伝的要因が幾つも重なって発症します。うつ病の場合、セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンなどの脳の神経伝達物質の不足や、ホルモンバランスの乱れ、激しいストレス、家族歴などが関連すると言われます。また、従来は几帳面で真面目な性格ほど発症しやすいと考えられていましたが、それに限らず幅広い人がなりえます。

どのように治療しますか? 薬は?

薬物療法と心理療法を、いずれか単独または併用で行う方法が主流です(前号参照)。

抗うつ薬では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が広く使われています。脳において、神経はその終末からシナプスと呼ばれる神経間の隙間へ伝達物質を放出し、それが別の神経の受容体へ結合することで情報が伝わります。その伝達物質の一つがセロトニンであり、SSRIはセロトニンがもとの神経に再取り込みされるのを防ぐことで、セロトニン不足によるうつ症状を改善しようというものです。代表的なブランド薬は、プロザックやゾロフト、セレキサなどです。

他にも、セロトニンとノルエピネフリンを阻害する薬や、ノルエピネフリンとドーパミンを阻害する薬などがあります。前者の代表的ブランド薬はエフェクサー、シンボルタ、後者はウェルビュートリンです。

抗うつ薬は、一般的に服用開始2〜4週間後から徐々に効果が現れます。主な副作用は吐き気ですが、大抵は時間とともに改善します。長期間服用もおおむね安全で、常習性はありません。

目安として、服用開始1、2年後に状態が安定していれば、量を漸減します。再発リスクは常にありますが、うまく止められることもあります。状態が良くなったからと短期で服用を止めた場合、再発率は高くなります。ストレスの少ない、精神的サポートの多い環境を作ることも大切です。
 

※次回は、統合失調症についてお聞きします。

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