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7月のトピック ◆
自殺の実態と予防策

葛藤を内に秘めやすいアジア系
心と体のメンテナンス
渋沢田鶴子先生

渋沢田鶴子先生

ニューヨーク大学大学院社会福祉学部准教授。老人学を専門に、臨床ソーシャルワーク分野におけるカウンセリングや、心理臨床に携わる。日本ルーテル学院大学社会福祉学科非常勤講師を兼務。コロンビア大学大学院社会福祉学部の元准教授。非営利団体「日米ソーシャルサービス」(JASSI、www.jassi.org)理事。

アジア系の自殺が増えているのはなぜ?

アジア系移民の数が急増していることが挙げられます。一般的な傾向として、アジア系アメリカ人はストレスや悩みがあっても、専門的な援助を求める傾向が白人に比べて低く、精神保健の専門家にたどり着く時点では、すでに重症になっていることが多いと言われます。つまり、外に助けを求めないため、余計に切羽詰まって、自殺に自分を追い込む可能性が高いということです。

背景には、アジア系は文化的に精神医療を受ける伝統がなく、精神保健に対する認識が低いことがあります。アジア系の精神医療従事者も少ないため、どこに行けば同じ言葉で話せる人がいるかが分からず、余計に敷居が高い、といった事情もあるでしょう。

移民の場合、移住に伴うストレスが多いのは言うまでもありません。

若いアジア系女性に自殺が多い理由は?

一つは、女性の方が、ストレスや葛藤を自分の中に抱え込みやすいことです。アジア系の家族、特に最近の移民家族は、息子には「勉強さえしっかりすればいい」というように、勉強以外は比較的自由を与える場合が多いようです。

ところが娘となると、やはりアジア的文化の伝統で、男性と付き合ってはいけない、勉強も家の手伝いもしなければいけないなど、かなり厳しく育てます。「(出身国の)伝統文化を維持しなければならない」というプレッシャーも、相当にあります。

一方で、あまりアメリカ社会に順応してはいけないと育てられたのに、大学や社会に入ると、そうはいきません。一人で決断を下す機会も増えてきます。特に対人関係は自己主張ができないといけませんが、アジア系女性は、一般的にその訓練を受けていません。ある研究によると、大学生活への移行において、女子の方が男子よりもストレスを多く感じていたそうです。厳しく過保護に育てば育つほど、社会に出た時の苦労が大きいのではないかと思います。

自殺したいと思う、あるいは自殺に追い込まれる若い女性は、自分に非常に厳しい傾向があります。そのため、何かにつまずくと、どうしていいか分からないばかりか、親に相談したり悩みを打ち明けることもできず、一人で悩んでしまいがちです。

他にはどのような原因が?

深刻な自然災害後に行われたある調査では、男子生徒よりも、女子生徒でうつになる確率が高かったそうです。女子の方が家族に対する責任感が強く、家族に何か問題があると「何とかしなければ」と、精神的負担を重く感じる傾向にあるようです。

移民という小さな特殊集団の中で生活していると、特に周囲の目が気になります。それも無理やストレスの原因です。


※次回は引き続き自殺の原因と危険要因についてお聞きします。

Tazuko Shibusawa, PhD, LCSW
Associate Professor
New York University
School of Social Work
Ehrenkranz Center
1 Washington Sq. N.
(at University Pl)
TEL: 212-998-5943
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