12月のトピック ◆
インフルエンザの予防と治療


インフルエンザの治療法は?
通常タミフルという経口薬が最も一般的に処方されます。インフルエンザのウイルスを殺す薬ではなく、体内のウイルスの増殖を止めて、症状が悪化するのを防ぐ薬です。
インフルエンザの症状が出て48時間以内に服用を始めないと効果がないので、症状が3日以上続いている場合は処方されません。その場合には、咳止め、のどの炎症止め、鼻水止め、解熱剤など症状を緩和する薬が処方されますので、栄養やビタミン剤を補給しながら、回復を待ちます。
インフルエンザは病院に行かなくても自然に治りますが、症状が長引くために体の抵抗力が落ちて体力を消耗するので、他の病気も招きやすくなります。周りの人への感染リスクも高くなるので、早めに医師の診断を仰ぐことが肝心です。数日経つと、ウイルスの数が増えすぎてタミフルが効かなくなるので、一刻も早く病院に行くことをおすすめします。
タミフルを服用する際の注意は?
処方されたタミフルを半分だけ飲んで、残りの服用を中断してしまうと、体内に残ったウイルスが薬に対する耐性を身につけてしまい、より強力なウイルスに変身してしまいます。すると、この強力なウイルスが他者に感染した場合、もうタミフルを飲んでも効かなくなってしまいます。そのため、服用を始めたら、処方された期間中は必ず最後まで飲み続けてください。
授乳中の女性は、タミフルの成分が微量ながら母乳中に移行する可能性があるので、服用中は授乳を中断します。小児が服用すると、まれに精神錯乱が見られる場合があるので、服用中は必ず家族が見守るようにしてください。
子供に多い溶連菌感染とは?
この数年、インフルエンザに似た症状を起こす冬の感染症として、溶連菌や肺炎連鎖球菌の感染ケースが数多く報告されています。溶連菌は、日本ではあまり知られていませんが、5歳未満の子供がかかりやすい感染症として、ニューヨークなど北米地域に多く見られます。 昨シーズンの2月から6月にかけては、私も溶連菌に感染した患者を数多く診察しました。肺炎連鎖球菌も、溶連菌と同種のばい菌です。
溶連菌は、のどから侵入して耳に入り、中耳炎や髄膜炎、肺炎、聴覚障害、脳障害などを起こす可能性があり、死に至るリスクもある危険な細菌です。持病がある人、5歳未満の子供、高齢者がかかりやすいので、こうした人々は早めに溶連菌の予防接種を受けることをおすすめします。
溶連菌感染症は、症状だけでは風邪やインフルエンザと間違えやすいので、疑わしい時には必ず医師の診察を受け、溶連菌の検査を受けましょう。
※来週の正月号から1月は、コロンビア大学医学部の循環器内科医師、石川譲治先生に、高血圧について伺います。
