10月のトピック ◆
米国での妊娠と出産


出産に医療保険が適用されますか?
日本では正常分娩にかかる費用はすべて自己負担となり、帝王切開や妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)といった異常事態に限り、医療保険から支払われます。これに対し、米国では正常分娩や帝王切開に関係なく、医療保険が適用されます。
ただ、保険によって償還範囲や金額、償還方法などに大きな違いがあります。妊婦さん本人が、あるいはご主人が勤務先の医療保険に加入していれば、例えば妊娠3カ月で渡米しても、妊娠・出産費用は保険の支払い対象になります。いい保険だと、全額費用が支払われることもあります。
健康保険を持たない妊婦さんは?
米国は保険料があまりにも高額なため、医療保険に加入できない人たちが全体の25%にも上り、大きな社会問題になっています。妊娠が分かってから、個人でメジャーな医療保険に新規加入することはできません。その場合の出産費用は、すべて自己負担になります。
私のクリニックでは、全額自己負担でお産をするとしたら、産前産後の検診や分娩介助、入院、無痛分娩の麻酔などを合わせて、費用は約2万7500ドルです(正常分娩の場合)。入院費は一括支払いで10〜50%の割引が適用される病院もあり、交渉次第でかなり安くできますが、それでも日本の総額40〜70万円に比べると非常に高額です。
米国滞在中も妊婦さん本人、あるいはご主人が日本の医療保険に加入していれば、帝王切開や妊娠中毒症治療など、日本で保険の対象となるものは、海外療養費として保険給付を請求することができます。出産育児一時金(35万円)も支払われます。また、医療費控除は、1年間に10万円以上の医療費がかかった場合、すでに支払った税金を還付してもらえる制度です。これらの制度をうまく利用して下さい。
他に日米間の大きな違いはありますか?
入院期間がアメリカでは短いことも挙げられます。日本では正常分娩で5〜7日、帝王切開の場合で10〜14日。米国は正常分娩で2泊3日、帝王切開で4泊5日です。規定より長い入院には保険が適用されません。
また、米国では、妊娠・出産について夫婦ともに非常によく勉強しており、自分たちの希望を明確に主張し、それを応援してくれる医師や助産師を探します。医療サイドも妊婦が希望する出産を全面的に支援します。
さらに、病院での出産は80%以上が硬膜外麻酔を使った無痛分娩を希望しています。日本ではありえないことですが、自然分娩はもとより、帝王切開の場合も夫が手術室に入り、希望すれば子どもや親の立会いも可能です。これは、家族の絆を深めるという意味でとても大切です。
※次回は出産準備についてお話をお聞きします。
