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9月のトピック ◆
在米日本人のための心のケア

アメリカ生活への適応障害
心と体のメンテナンス
松木 史(ふみ)さん

松木 史(ふみ)さん

ニューヨーク州クリニカル・ソーシャルワーカー及びサイコセラピスト。NYU大学院でソーシャルワーク修士号取得、サイコセラピー研究所卒業。コロンビア大学院、NYU大学院ソーシャルワーク実習生のスーパーバイザーを務めた。1983年から日米カウンセリングセンター勤務、在米日本人のカウンセリングを担当している。

どういう理由で適応障害に?

日本でだめだったから、アメリカで第二のチャンスをと思って渡米した人が、予想以上に困難な状況にぶつかるケースがあります。日本と外国の最大の違いは、外国には自分のためのリソース、つまり生まれ育った環境で身についた日本語、社会のシステム、友達、親など、生きていく上での財産がないことです。日本の社会で立派に機能していた人も、英語力が乏しいためにアメリカで子供扱いされる、アメリカのシステムに慣れないなどの理由で、適応障害に陥るケースがよくあります。
 
適応障害には、日常のすべてが影響します。銀行や地下鉄などの利用方法の違い、信号待ちの時間、店員の態度、樹木や空の色の違いなど、日本で見慣れたものとの違いに直面すると、緊張が持続します。人によっては、胃腸を悪くするなど、体に症状が出ることもあります。環境への適応障害は、年齢にほぼ関係なく起こりうるのです。

どうやって乗り越えますか?

日本とアメリカの「違い」を理解し、それを受け入れることができれば、それだけでもアメリカ生活に適応するのが楽になります。少し時間がかかるかもしれませんが、私の場合は渡米して3年後には、日本とアメリカの違いを理解して受け入れられるようになりました。

適応にかかる時間には、その人のストレス対処能力が関係してきます。その能力は、個人の生い立ちや気質と深く関係しており、日本にいた頃の体験を切り離して考えることは不可能です。日本でうまく問題解決をできていた人は、ストレスの解決方法を知っているために、適応、回復も早いようです。

在米年数とカウンセリングの関係は?

渡米後間もなく、うつや適応障害でカウンセリングを受ける人もいますが、では在米年数が長ければ、カウンセリングが必要でなくなるかというと、そうではありません。アメリカ生活に慣れた人でも、年と共に出産や子育てなど環境の変化に伴う別の悩みが出てきます。職場での競争や人種差別など、新たなストレスに直面することもあります。

小学校から高校までアメリカで育った人の場合、社会に出てから「自分はアメリカ人なのか、日本人なのか」というアイデンティティーの悩みに直面することがあります。実は、外国生活で最も重要なのは、自分のアイデンティティーを明確に持つことであり、「自分は日本人である」という気持ちを、何らかの形で常に持っていることが大切なのです。

成人して渡米した人の場合は、日本で育つ間に日本人としてのアイデンティティーを確立しているので、実は外国で生きていく上での強みをすでに持っているのです。

 
※次回は、心の悩みをもつ人へのアドバイスについて、お話を聞きます。

Fumi Matsuki Raith
LCSW, BCD
Social Work Supervisor
Japanese Clinic of
Hamilton-Madison House
253 South St., 3rd Fl.
(corner of Rutgers St)
TEL: 212-720-4560/4561
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