9月のトピック ◆
在米日本人のための
心のケア


日米カウンセリングセンター設立についてお話しください。
1980年当時のアメリカでは、アジア人には精神医療が必要ではないと思われていた風潮があり、ニューヨークにはアジア系移民向けの精神医療機関がありませんでした。その頃、ある中国人精神科医が、中国人移民のための精神医療の必要を感じ、ニューヨーク州に申請したところ、アジア系移民全般を対象とするクリニックという条件で、82年に助成金が下り、3年間の試験運営が認められました。
日本人部門としては、日米合同教会の牧師を中心に、5、6人のスタッフで発足しました。当時、NYU大学院を修了したばかりの私も参加しました。在米日本人が精神医療を必要としていることを3年間で証明するために、日本人や日系人が集まるグループを見つけては、クライアントを探して駆け回る日々でした。3年後に正式に認可され、ニューヨーク市の管轄下に移りました。
日本人部門への援助の状況は?
日米カウンセリングセンターは、中国系の社会福祉団体「ハミルトン・マディソンハウス」の傘下で、市の助成金を受けて運営されています。市から助成金が100%出るわけではなく、クライアントからの料金の他、企業や一般からの寄付金にも頼っています。ただ、もともと低収入者向けのサービスなので、日本人クライアントだけでは資金が足りず、開設以来ずっと赤字なのが現状です。
日本人部門のサービス内容は?
ニューヨーク市と近郊、コネティカット州、ニュージャージー州在住者を対象に、個別カウンセリングとカップル・カウンセリングを提供し、日本語と英語を話すサイコセラピスト(心理療法士)2人が対応しています。
料金は、個人の収入に応じて、初回面接の時に話し合って決めます。次に、精神科医との面接を行い、薬が必要であれば処方します。その後カウンセリングを開始します。
法律的な悩みや、ドメスティック・バイオレンスの場合には、日本語の無料法律相談所やシェルターの紹介も行います。ここでのカウンセリングの良さは、期限がなく、クライアントが卒業してもいいと思える時期が来るまで続けられることです。
どんな人でもケアを受けられますか?
ニューヨーク市の助成金は、「移民が心身ともに健康になって、市に還元・貢献できるように」という趣旨からきています。不法滞在者でもサービスを受けられるのが、素晴らしい点です。現在の日本人クライアントは70人くらいで、20代後半から40代半ばが最も多く、全体としては20代前半から60代半ばまでの層になります。
※次回は、カウンセリングの方法と、在米邦人によくある症状について、お話を聞きます。
