12月のトピック ◆ 女性尿失禁の診断と治療法


尿失禁の種類と原因は何ですか?
尿失禁は症状によって、腹圧性、切迫性、そしてこれら2つを併せ持つ混合性の、主に3つに分けられます。
腹圧性とは、咳、くしゃみ、走る、笑う、重い物を持ち上げるなど、お腹に急に力が入る動作がきっかけとなり、少量の尿が漏れる状態です。腎臓で作られた尿は膀胱に送られ、いっぱいに貯まったところで尿道から排泄されます。主に加齢や出産に伴い、尿道や膀胱を支える筋肉が弱くなったり損傷したりして、尿を封じ込めておけなくなるのが原因です。
切迫性とは、急に強い尿意をもよおし、トイレまで我慢ができなくて尿が漏れる状態で、膀胱の過活動が主な原因です。過活動の膀胱は慢性的に過剰に活動、収縮し、尿があまり貯まっていなくても急に激しい尿意をもよおして、頻尿状態になります。早めにトイレに行く習慣をつけると、膀胱に貯蔵できる尿の量が減り、さらに頻尿状態になります。逆に長時間、尿を貯めておくことも尿漏れの原因となります。そのほか、神経系疾患や、交通事故などによる脊椎障害も尿失禁の原因です。
女性には、どの失禁が多いですか?
腹圧性が最も多く、混合性、切迫性の順に続きます。患者の割合は、個人的推測ですが、それぞれ45%、25〜30%、20〜25%といったところです。
どのように診断しますか?
まず問診です。既往歴、手術歴、出産歴、薬剤歴といった一般的な質問を行い、次に排尿に関して詳しく聞きます。特に高齢者の場合、血圧の薬や利尿剤、糖尿病などが原因になっていることがよくあります。
数日間にわたり、排尿回数と時刻、水分摂取、尿失禁のパターンを日記のように記録してもらうこともあります。水分摂取は失禁と密接な関係があり、例えば患者の中に3リットルの水分を毎日飲んでいる人がいましたが、頻尿になるのは当然です。コーヒーなどのカフェイン飲料の摂取も大きく影響します。こうして生活行動を分析、変更することにより、比較的簡単に症状を改善できることもあります。
診察では、特に膀胱、尿道、子宮などを支える筋肉や靭帯の状態、膀胱の働きをコントロールする神経の障害の有無、尿路感染の有無などを調べます。
さらに詳しい情報を得るために、ユーロダイナミックと呼ばれる検査を行うことがあります。カテーテルという細い管を尿道から膀胱に挿入し、膀胱に水を入れ、膀胱の許容量、活動、排尿をつかさどる尿道の筋肉の状態、失禁の状態、排尿形態などを調べる検査です。各個人の失禁の起こる原因を詳細に知ることができます。外来で受けられる30分ほどの検査で、痛みはありません。
※次回は、腹圧性失禁の治療についてお聞きします。
