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11月のトピック ◆ 足に関する悩みと病気

スポーツジムでうつる細菌「MRSA」
心と体のメンテナンス
林美香先生

林美香先生

足病形成手術専門医師。ニューヨーク足病医科大学卒業後、聖ビンセント病院足病外科・医科研修修了。外反母趾や骨折など足病外科・再建手術、スポーツに伴うケガ治療・歩行矯正などのスポーツ医学、創傷ケア、関節炎、足の多汗症、水虫など足病一般が専門。骨折手術・皮膚移植など500件以上を執刀。

MRSAとはどんなものですか?

正式名称は「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」といい、ペニシリン系抗生物質のメチシリンが効かない細菌です。主に院内感染型と市中感染型の2つがあり、このうち院内型は、高齢者、術後患者、糖尿病やHIV患者など、体の免疫力が低下した人たちが病院や老人ホーム内で感染しやすい菌株です。対照的に、市中型はスポーツ選手や児童といった健康な若い人が、スポーツジムなどで、主に手足の傷口から感染する、比較的新しい菌株です。
 いずれの菌もいったん体に入ると患部からすばやく全身へ広がり、壊死性筋膜炎、肺炎、敗血症などの原因になります。

近年、市中型が騒がれているのはなぜ?

従来は院内型がほとんどで、健常者には無縁の菌(病気)でしたが、近年は市中型が急増しており、MRSA感染者の15%にまで拡大したという統計もあります。スポーツ選手や児童が感染・発病し、急死した例もテレビなどで報道されています。
 MRSAは、適切な抗生物質で処置すれば危険な菌ではありません。しかし問題は、医師もまさか健康な若者がMRSAに感染しているとは思わず、菌の培養検査も実施せず、MRSAに効かない普通の抗生物質を処方してしまいがちなことです。医師から処方された抗生物質を2日服用しても症状が改善しなければ、すぐに医師のところへ戻るようにして下さい。

市中型の感染経路と予防法は?

院内型と同じく、傷口から感染します。特にバスケットボールなど他人の肌と直接接触する機会の多い集団スポーツをする人や、学校やスポーツジムなど集団生活の場で不特定多数と器具を共有する人は要注意です。
 菌は体の外でも24時間以上生きているため、保菌者が触った後の汚染された器具を触り、傷口から感染することもあります。水虫で足の指の間にひび割れがある、あるいは脱毛後の毛穴に炎症があるままジムに行き、ほんの小さな傷から菌が入り重症化したケースもありました。
 予防法は、まず手足の傷は大小にかかわらず患部を消毒してから絆創膏を貼り、傷口を感染から保護することです。学校やジムでは、ユニフォームやタオル、剃刀など肌に触れるものを他人と使い回さないこと。器具を使う時は、手で握る部分をアルコールベースの殺菌ジェルなどで消毒するといいでしょう。
 プールやサウナ、ロッカーでは草履など室内履きを着用し、ジムの後は石鹸で手足をよく洗って下さい。ムダ毛を抜いた直後は毛穴が開いているので、脱毛後1、2日は、ジムは避ける方が賢明です。
 また、ジムで運動をする方、集団スポーツをする方、そして過去にMRSAに感染したことのある方は、医師の診察を受ける際に申し出ることが大切です。
 
※ 次回は、爪からわかる体の異常についてです。

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