10月のトピック ◆ スポーツとフィジカルセラピー


日米の価値観の違いがスポーツに影響?
全米各地で様々な人種の選手や学生、社会人の治療に当たり、人種や文化的背景の違いが、スポーツに対する意識に特有の傾向を生んでいることに気づきました。
例えば、アメリカ人は、働き盛りの社会人でも男女共にスポーツや日常の運動を仕事や家庭と同様に「大切な生活の一部」とみなしている人が多いと思います。一方、日本人の場合は、働き盛りの男性なら仕事や社会的ステータスを優先しがち、女性なら外見を魅力的に見せることを重視しがちというケースをよくみかけます。健康維持や筋力作りという体の内面のケアを、おろそかにしがちな印象があります。
もちろん、現代は人種や性別を問わず、全般的に健康志向が高まってきていますし、特にニューヨーク在住の日本人は、多文化・多人種の影響を受けているためか、健康維持や運動を重視する人が増えています。それでもやはり、欧米人の方が、仕事や外見だけでなく健康体を維持することに喜びを感じている人が多い気がします。
日本人ビジネスマンの意識の傾向は?
治療を受けにくる在米の日本人ビジネスマンなどを見ていると、日系社会では会社の方針や社会的常識などを守らなければならない規範が厳しいため、ジムに通う時間がなかなか取れなかったり、体に不調や障害が現れても仕事を休みにくかったりする現状があるようです。
個人の健康管理よりも仕事の効率を優先させてしまいがちなので、けがや慢性の障害があっても、治療に通う時間が取れない、十分な休養をとれないことから、障害のある患部を放置しやすいのです。その結果、本人も気づかぬうちに体調を悪化させ、文字通り「倒れるまで」体を酷使し、大病を招いてから訪れる患者が多数います。これは、日本人にありがちな危険な傾向だと思います。
運動を楽しむ中高年にアドバイスを。
アメリカなどの欧米社会で、中高年の方がスポーツをする時には、周囲の仲間や対戦する相手との身体能力の違いを把握することが大切です。自分の体力や筋力に対する過信を取り去り、ありのままの自分と向き合うことも大切です。運動をしていなければ、衰えるのは当たり前だし、減量のために食事制限をしても、体は弱るだけです。
週末に趣味としてスポーツを楽しむだけの人は、やりすぎずにその度合いをコントロールしましょう。あらかじめ基礎的な体作りをしておくことで、思わぬけがや障害を防ぐことができます。けがや障害を起こして整形外科医やフィジカル・セラピーに通うことになる前に、何よりも「けがをしにくい」体作りを、ぜひ日頃から心がけてほしいと思います。
※来月は、足の健康について、足病専門医の林美香先生にお話を伺います
