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10月のトピック ◆ スポーツとフィジカルセラピー

筋肉をバランスよく鍛える欧米人
心と体のメンテナンス
森 利雄先生

森 利雄先生

NATA(National Athletic Trainers' Asso.)公認アスレチックトレーナ−。カウンセリング心理学修士。米国国家認定準医療資格を持つ。様々な学校、プロスポーツ界で勤務した後、現在ニューヨーク市のスポーツ医学・整形外科リハビリ専門クリニックで、学生、ビジネスマン、プロ選手、オリンピック選手など幅広い層のトレーニング、治療、ケガ予防教育を行う。

欧米人と日本人の筋力の違いとは?

解剖学・運動生理学的に見ると、ハムストリング(大腿屈筋)や臀部(でんぶ)、ふくらはぎなどに違いがありますが、日常生活での動作やスポーツ環境の違いも、欧米人と日本人の筋力の違いを生んでいると思います。
 例えば、シーズンスポーツ制をとっているアメリカでは、普段は野球をやっている人が、オフシーズンにはバスケットボールをするなど、子供のころから1年を通して複数のスポーツを楽しむことに慣れているので、体のあらゆる筋肉がバランス良く鍛えられます。
 一方、日本では、サッカー選手なら1年中サッカーに専念することが多く、同じ動きを続ける結果、特定の筋肉しか鍛えられません。日本人がアメリカでスポーツをする際に、ささいな接触でけがをするのは、こうしたことも一因です。

心理的な作用もけがのもとに?

学生時代に没頭したスポーツを、中高年になってから趣味として再開するケースが危険だと、以前お話ししましたが、これは年齢による筋力の衰えだけでなく、心理的な面とも関係があります。若い頃の活躍の経験から、自分も周りのアメリカ人と対等の体力があると思いがちです。この過信は、自分の体力の衰えを認めたくないという否定的な心理を生みやすく、基礎トレーニングの必要性を無視する態度にもつながります。
 スポーツで最も危険なのはこの「否定」の態度で、自分の筋力の衰えなどを直視できないことです。学生時代より体を動かす時間が減っている現状や、年齢と共に衰えつつある自分の筋力を、まずしっかり意識することが大切です。

意識を変えることがけがの予防に?

その通りです。スポーツをする際に、自分の体調や筋力をありのままに認め、「意識」することができれば、自分が何をすべきか、何に気をつけるべきか、自然にわかるはずです。運動の前後に全身のストレッチを十分にする、基礎トレーニングを日課にする、栄養バランスのとれた食事をする、運動中に腕や足腰を痛めたら、症状が慢性化・悪化する前に整形外科医に診てもらう。そういうことの大切さが自然に理解できるはずです。
 体が重いからといって食事制限をしても体は軽くなりません。働き盛りの中高年になると、「仕事が忙しい」という理由で、なかなか時間が取れないかもしれませんが、体は生活の基盤です。余暇をスポーツで楽しみたい人、ストレスの発散としてスポーツを取り入れている人は、思わぬけがを防ぐためにも、日頃から基礎トレーニング、体調管理を怠らずに続けることをおすすめします。
 

※次回は、日米の価値観の違いがスポーツにどう影響するかについてお聞きします。

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